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2002/06/28

<鳳仙花>◆W杯韓国のきら星たち◆

 力尽きて決勝進出を逃した韓国。W杯の祭りはもう終わったと思わせるほど今大会での韓国の活躍は素晴らしく、世界の耳目を引きつけた。記憶に焼きついたプレーも多い。

 特にJリーグ京都で活躍する朴智星(21)のスーパーゴールは一生忘れないだろう。ベスト16進出をかけた強豪ポルトガル戦で、左からのクロスを胸で受け、右足の浮きだまで相手のブロックをかわし,落ち際を右足のボレーシュート。GKの股間を抜いてゴールに突き刺さり、これが決勝点になった。韓国の快進撃に「シンパラン(神風)が吹いていますね」という電話がかかってきたが、まさに神業のプレーであり、韓国のテクニックが世界レベルであることを見せ付けた。

 死闘を繰り広げたイタリアとの延長戦を制した安貞桓(26)のゴールデンゴールは劇的だった。ゴール前の混戦で相手ディフェンダーに競り勝って側頭部でヘディングシュートを決めたものだが、彼は開始早々のPKを失敗する致命的なミスのため、心の中で泣きながらプレーをしたという。

 その失敗を挽回するゴールを決めたのだから感動的であり、精神力の強さというものを強く感じさせた。洪明甫(33)の統率力など挙げていったら尽きない。日本のファンも今回ほど韓国選手を身近に感じたことはないだろう。

 これはW杯というスポーツの世界のことであるが、韓国選手たちは「やればできる」ことを証明した。W杯前、韓国のベスト4進出を考えただろうか。不可能を可能にするため必死になり、それが伝わるプレーの連続だった。文字通り体力の限りを尽くしたのだ。

 決勝進出をかけたドイツ戦に敗れても、スタンドや街頭から拍手が鳴り止まなかったのは、韓国選手たりの最後まで諦めない頑張りをみたらだろう。(S)