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2002/07/19

<鳳仙花>◆ドル安ウォン高◆

 エンロンやワールドコムなどの巨額企業会計不正に端を発してドルが大幅下落、米国経済への先行き不安が広がっている。この影響で主要国通貨は米ドルに対して軒並み高値となっており、韓国ウォンも1㌦=1176ウオンと20カ月ぶりに最高値を記録、輸出への打撃が憂慮されている。

 米国経済の変調は、韓日だけでなく世界経済に大きな影響を及ぼす。それだけに先月末のカラカス・サミット(主要先進国首脳会議)では、この問題に対し十分に討議すべきだったが、楽観的な見通しを語るだけだった。当然、処方箋は出なかった。「これではサミットを開く意味がない」「グローバリズムを唱える一方で、こんな重大な問題を放ったからしにするのは無責任だ」という批判の声があがったのも、世界経済を混乱に陥らせない責任が先進国にはあるからだ。

 大学時代から30年以上株式投資をしている友人は、「巨額粉飾決算の原因はストックオプション(自社株購入権)にあるのではないか」と推理した。この制度は米国で流行、韓国や日本でも導入する企業が増えているが、株価が上がった段階で売却して利益を得ることができ絶対に損をしないというもの。「これが株価を上げるのに手段を選ばなくさせている」という見方だ。

 そういえば、経済学の祖、アダム・スミスは200年以上前に株式会社創設に反対した。自分の資本でない他人の資本を動かす経営者は無責任になりがちだと考えたからだ。今日、その功罪は明らかにあり、ストックオプションのようなどうみても虫の良すぎる制度が流行するのは気がかりだ。

 いろいろと教訓にすべきことが多い。ドル安は米国自体に原因があっても、韓国はその影響をもろに受けてしまうように、どの国も1人では生きて行けない。特に資源小国という立地条件の宿命もある韓国は、このことも考え、未来ビジョンに取り組まなければならないだろう。(S)