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2002/01/18

<鳳仙花>◆韓国、節目の年に際して◆

 韓国ではいま、ベンチャー企業がらみの不正疑惑である「4大ゲート」が連日マスコミを賑わしている。政官界を巻き込んで昨年末から政局は緊迫しているが、なにやら5年前の悪夢が蘇ってくる。

 97年の時も、年明け早々から韓宝事件が世間を騒がせ、銀行長逮捕から始まり、大統領の息子まで連累した。綱紀が緩んでいた結果の乱脈であり、経済的には外貨保有高が底をつき、その年の年末にIMF管理下に入ってしまった。当時のことを忘れてはならない。

 心ある多くの在日も心配している。ある識者は「いまのロビー疑惑は桁外れの不正であり、恥ずかしい。南北関係は重要な時なのに、北側に口実を与えてしまう」と憂えた。

 幸い、経済は厳しい中にあっても明るさが見える。新年早々韓国を訪れた友人は、「昨年のクリスマス以降の株価上昇率が世界トップ水準であり、5年ぶりに都市銀行の経営が黒字転換した。これによる景気回復への期待感と、今年はW杯の韓日共催、大統領選挙が行われる大きな節目の年なので、国民の間には強い意気込みが感じられた」と知らせてくれた。

 経済を順調に伸ばすためにも政局の安定が欠かせない。そうでなくとも今年は大統領選挙をはじめ地方自治体選挙、農協選挙など各種選挙が目白押しだ。それに世界の耳目が集中するW杯がある。綱紀粛正が必要だろう。

 金大中大統領は14日の年頭記者会見で、「疑惑を厳正に処理し、私が先頭に立って不祥事との決別の転機にする」と強調したが、ぜひそうしてほしい。新規巻き返しを図り、就任初期のように国民をリードしてほしいと思う。

 IMF寒波が吹き荒れる就任式で、悲壮な覚悟を秘めた金大統領の厳しい表情が忘れられない。(S)