ここから本文です

2003/09/12

<鳳仙花>◆新しいタイプの経営者像◆

 最近、忠清南道の地方建設会社が全国的基盤をもつ京南企業を買収して韓国のマスコミで話題になっている。この建設会社は大亜建設で、海外工事実績が多い京南企業買収を契機に海外進出に本腰を入れる戦略だという。実はこの大亜建設のオーナーが注目すべき人物なのである。

 創業者の成完鍾会長(52)は、家が貧乏だったため小学校を中退、新聞配達などをして必死に貯めた200万ウオンで事業を興した立志伝中の人物だ。徒手空拳で始めた事業だったが、30余年間で系列10社を擁する売上高1兆ウオンの中堅グループに成長した。この過程で辛酸もなめたが、不屈の精神で克服していった。

 金融機関の壁は高く、名もない建設会社に資金を貸してくれる銀行はなかった。「支店長に会うため3、4時間待つのは日常茶飯事だった。早朝6時に出勤する支店長をつかまえるのに家の前で5時から待ったこともあった」

 苦労人であるが、それ以上に偉いと思うのは、他の経営者に真似のできない社会還元に対する姿勢だ。すでに12年前につくった奨学財団の基金は韓国初の100億ウオンを突破した。さらに2010年までに自ら所有している会社の株式をすべて公共法人に寄付する計画を明らかにしている。土地と不動産を持たない成会長のほぼ全財産だ。

 「オモニ(母)が困難な人を助けてあげなさいと遺言を残した。素手で始めて得たお金だから社会に戻さなくては」

 2年前に未来産業の創業者、鄭文述氏(65)が私財300億ウオンを韓国科学技術院に寄付、引退を表明して話題を呼んだことがある。成会長もまた、従来とは明らかに異なる新しいタイプの経営者像を示したが、このような努力の一つひとつが社会を成熟させる大きな原動力になると考える(S)