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2003/03/07

<鳳仙花>◆長野県知事の勇気ある挑戦◆

 田中康夫・長野県知事が先月下旬、県職員採用試験の国籍条項完全撤廃を表明した。県人事委側は強く反発しており、今後実現するかは分からないが、勇気ある挑戦だと思う。

 田中知事については、ダム建設中止やガラス張りの職務室など次々と新方針を打ち出す姿を見て、「新風を吹き込む人」と小気味よさを感じてきた。

 今回の県職員採用についても、「年齢や性別、肩書や経歴、国籍や障害を問わず、意欲ある方に公正なチャンスを与えたい」と述べており、差別に対し風穴を開けようとするものだ。

 国籍条項をめぐっては高知県の橋本大二郎知事が95年に完全撤廃を表明したが、人事委とやはり対立し、一定の任用制限を設けることで97年に撤廃した前例がある。政令指定都市では96年に川崎市が始めて国籍条項を撤廃している。

 長野県の場合は吉村午良前知事が、「国籍が外国である以上はどうか。帰化してもらうのが一番いい」として、国籍条項撤廃に否定的立場をとってきた。「公権力の行使や管理職など『公の意思形成への参画』には日本国籍を必要とする(総務省)」というのが根拠になっている。これまでの自治体の制限付き撤廃も、この通達に対する妥協の産物として成立した。管理職となった在日もいるが、制限に触れない部署で行われてきた。田中知事はその壁にどう挑むのだろうか。

 長野県では84年に在日の梁弘子さんが教員試験に合格したときも、文部省の指導を受けて県教育委員会が教諭採用を取り消し、常勤講師の形で採用した事件がある。田中知事はこれについても、県教育委員会に採用制限撤廃を求めていく考えだ。田中知事の手腕を注目したい。(L)