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2004/08/20

<鳳仙花>◆アテネ五輪で平和表現した南北◆

 アテネ五輪の開会式を見て、さすが哲学の国、ギリシャだけのことはあると感心した。エーゲ海をイメージした水の舞台で繰り広げられた古代ギリシャから現代に至る文明の奇跡をたどったアトラクションは、とても印象的だった。それにも増して素晴らしかったのは、選手団の入場行進だ。

 今回はIOC(国際オリンピック委員会)加盟202カ国・地域すべてが参加し、本当に地球上には多くの民族が存在することを実感させてくれた。7万人の観衆から最も大きな拍手を受けたのはイラク選手団。そして、4年前のシドニー五輪に続き南北合同入場行進を果たした韓国と北朝鮮選手団に対してもひときわ大きな拍手がおくられた。多くの人が平和を願っているのだと感銘を受けた。

 韓国側の旗手を務めた女子バレーボール代表の具ミンジョン選手は、「統一旗を持っての合同行進ができて、とても良かった。シドニーだけで(合同行進が)終わっては意味がないから」と語ったが、現実的には南北は自由往来もできない対峙関係にあり、世界の人々の平和の願いに応える一歩を踏み出したにすぎない。

 古代オリンピックが始まったのは紀元前776年。ギリシャの100余の都市国家は、五輪期間中、戦争と敵対行為を一斉に止めた。完璧な体と精神を神々に捧げる祭典、人間の限界に挑戦するという発想自体を神々に対する挑戦とみなしたため勝敗や記録は重要でなかった。108年前から始まった近代五輪もこのような平和と和解の精神を継承している。

 北朝鮮は今回、韓国側の支援で五輪の生放送受信が可能になり、南北合同行進が放映された。韓国選手の活躍も今回こそぜひ放映し、「囲いの中の交流」から脱してほしい。柔道のケー・スンヒさんが韓国応援団に対して、「民族がひとつになって声援してくれて嬉しい」と語ったが、この自然な感情が広がることを期待したい。(S)