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2004/06/18

<鳳仙花>◆610年ぶりの遷都を考える◆

 韓国で新行政首都候補地が発表され、1394年に開城から漢城(現在のソウル)に首都が移転されて以来、610年ぶりに遷都が現実の動きとなっている。政府計画では、2030年までに首都移転を完了するとしているが、どんな首都にするつもりなのか、大いに注目されるところだ。

 だが、何か事をなそうとすると反対意見が起こるのも世の常だ。今回も、「行政機能だけでなく、立法や司法府のほか主要な国家機関まで移す事実上の遷都だから国民投票にかけるべきだ」「国家的大事業にもかかわらず十分に国民的な論議がされていない」と野党や首都圏の自治体から反対する声がある。しかし、国民的に論議すべきは首都移転是非より、どんな首都にすべきかについてではないかと思う。

 いうまでもなく、ソウルは世界一、二を争う超過密な都市であり、狭い面積に1000万人を超す人が住んでいる。周辺部を含めた首都圏では2000万人をゆうに超え、韓国全人口4800万人の2分の1に迫る。

 すべてがソウルに一極集中しており、これ以上の過密が進めばさまざまな分野で効率が低下するのは避けられない。もう従来の人口分散策では実効をあげえなくなっており、首都移転は最後に残ったカードなのだろう。

 行政首都といえばブラジリアが有名だ。ブラジルの広大な内陸部に出現した未来都市を思わせる大胆な設計は貴重な研究対象である。ドイツの首都・ベルリンは人口350万人にすぎず、ハンブルグ(170万人)とミュンヘン(120万人)を除きすべての都市が100万人以下である。この国土の均衡化はドイツの豊かさの温床でもある。

 計画通りいけば8月に立地を確定し、来年から首都の設計を開始するという。素晴らしい首都づくりのため海外同胞を含め英知を集めるべきだと考える。(S)