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2005/10/07

<鳳仙花>◆ダ・ヴィンチと韓国科学者の挑戦◆

 万能の天才といわれるレオナルド・ダ・ヴィンチが晩年にその真理探究の英知を書き残した「レスター手稿」が日本で初めて公開された。六本木ヒルズの展示会場に足を運び、天文学から流体力学、地球物理学にいたる多分野の考察が、精緻な鏡面文字(鏡に写すと正常に見える文字)とデッサンで書き込まれているのを見て、天才の息づかいが伝わってきた。現代のダ・ヴィンチもきっとどこかにいるという思いにとらわれた。

 見終わった後に「500年後にどんな発見がなされていますか」というアンケートに答えるコーナーがあり、「その時生き残っているのはミミズぐらいで、人類は消滅しているのでは」という人もいたが、物理学を専攻した友人は、「人類が未だ作り出せていないのは自己増殖できる機械だ。これができればダ・ヴィンチと並び称される天才として歴史に名を残せるが、韓国人にその可能性がある。分野は違うが、線虫はストレスがたまると冬眠できる物質を作ることを発見したのも韓国の科学者だ。うまく活用できれば、将来、何十年もかかる宇宙旅行で冬眠も可能になる」と語った。

 そういえば、韓国で最近、科学技術の進展がめざましい。半導体ではサムスン電子の黄昌圭・総括社長が1年ごとにメモリー半導体の集積容量を2倍ずつ大きくするという法則を発見、実際に実証されている。黄禹錫・ソウル大教授は、難病治療を大きく前進させる胚性幹細胞(ES細胞)の作製に世界で初めて成功した。

 500年前にダ・ヴィンチは飛行機の原理や月が光っている原理を解き明かし、今日の近代科学発展に結びつけた。同時代にミケランジェロやラファエルロら天才も出現した。ルネサンス前のキリスト教の厳しい縛りから開放されたところでいろいろな天才が登場した。開放的になって、自由になると、いろんな人が出てきて才能を発揮するものなのだろう。

 韓国は、儒教と反共に縛られていた時代から決別、かつてなく開放的な社会になっている。様々な取り組みが行われており、自らの細胞を直せる生命型ロボット開発も進められている。夢のある未来に向け多くのチャレンジをしてほしい。(S)