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2007/11/09

<鳳仙花>◆韓国の先端技術ワイブロの世界◆

 電車や車などの高速移動中にもワイヤレスでインターネットが楽しめる韓国独自の技術「ワイブロ」が国際電気通信連合(ITU)の総会で国際標準に採択された。韓国の通信技術が世界に認められた快挙である。

 インターネットへの接続は駅構内や喫茶店に設置されている公衆無線LANや携帯電話などからもできるが、電波が弱かったりデータ送信量が少なかったりと使い勝手が良くなかった。これに対しワイブロは、カバーエリアも広く、大容量通信が可能で、人口密度の低い山間部や離島など、有線ブロードバンドの回線が行き届かない地域に低コストで導入できる利点があり、途上国で採用するケースが増えている。

 ワイブロは、2004年に韓国政府が掲げた「IT839戦略」の一環とし政府機関の韓国電子通信研究院(ETRI)、サムスン電子やKT、SKテレコムなどの民間企業が共同で開発、政府の強力な推進でKTが昨年6月に世界で初めて商用サービスにこぎつけた。

 次世代通信規格では、ワイブロ以外に北米型や欧州型など5つの規格が世界標準として認定。最終的にその中でワイブロが生き残れるかは未知数だが、韓国は世界に先駆けて商用化に成功しており、一歩先んじている。

 輸出面から見ても有線通信のインフラ整備が遅れている発展途上国市場では、他の規格より優位に立てると見られ期待が持てる。

 韓国の国土は狭く、賦存資源に乏しい。現在、韓国は半導体や薄型ディスプレーなどのIT分野で世界的な影響力を持っている。しかし、莫大な使用料を支払って核心技術を輸入してきた。

 今後は、厳しい国際競争の中で生き残るためにも、人的資源開発を一層強化し、今回のワイブロのような独自開発に続く頭脳集約的かつ高付加価値の新たな次世代主力品目の発掘と技術開発が望まれる。(U)