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2008/10/31

<鳳仙花>◆為替に翻弄されない関係を◆

 韓流ブームで韓国にはまり、年に何度も訪韓している友人が先週末にソウルに遊びに行き、恵比寿顔で帰ってきた。ショッピング、グルメ、エステと存分に堪能し、気分は最高だったとか。その理由は、ウォン安・円高でお大尽気分が味わえたためだ。

 このところのウォン安は異常ともいえる。1年前は1万円が8万ウォンだったが、現在は1万円を出すと倍の15万ウォン近くになる。つまり、ウォンの価値は半分水準になってしまったということだ。いま韓国を訪れる日本人にとっては、またとないチャンスといえよう。このため、韓国に日本人観光客が殺到、航空便は常に満席、ソウルのホテルも予約でいっぱいで、格安ホテルから高級ホテルに変更する客も多いと聞く。免税店なども売上が60%もアップ(ロッテ免税店)し、円高さまさまだという。

 その半面、ウォン安が日本の観光業界を痛打している。特に近くて安いと韓国人に人気の九州では、ウォンの暴落をきっかけに客足が遠のき、対策に苦慮している。韓国からのツアーを受け入れている旅行社によると、8月から為替の影響が出始め、韓国側から「もっと安いツアーはないのか」、「大型バスをやめ小型にしてほしい」という要望が相次ぎ、韓国人観光客は2割以上減っているという。

 人気スポットの大分県の別府温泉には、昨年20万人を超す韓国人観光客が訪れたが、最近はがくんと減った。きっぷがいい金銭の使いっぷりで地元の経済を潤してきた韓国人の財布のひもも固くなり、死活問題に発展しそうだ。

 韓日相互往来500万人時代を迎え、相手国にもたらす外貨収入は大きなウェートを占めるようになり、為替レートに一喜一憂するほど、両国の関係は緊密になったといえる。為替の変動は国や国民生活に大きな影響を与えるが、両国ともサービス業の体質を強化し、国民交流がそれに翻弄されないような体制がほしいものだ。(Z)