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2008/05/30

<鳳仙花>◆宙に浮いた韓米FTAの批准◆

 韓米自由貿易協定(FTA)が昨年6月30日に調印されてから、かれこれ1年になろうとしているのに、両国の議会での批准が遅れ、宙に浮いたままになっている。

 この原因はどこにあるのか。李明博大統領は、4月に初の外遊で米国を訪問し、ブッシュ大統領との首脳会談でFTA批准に最優先課題として取り組むことに合意した。韓国政府は、大統領の訪米に合わせて懸案だった米国産牛肉の輸入規制撤廃を発表したが、これは米の圧力によるものだという見方が強く、韓国内の世論が一斉に反発。市民らが開放反対闘争を繰り広げ、第17代国会会期中のFTA批准は絶望的だ。

 最近の牛肉反対デモは逮捕者が出るほど過熱しており、FTAの批准どころではなくなった。食の安全は国民の生命に直結するだけに、問題視するのは理解できるが、FTAと切り離して考えるべきではないか。韓国にとって米国とのFTAは日本や中国に先駆けて巨大市場を確保でき、30万人の雇用創出効果も得られると期待されており、メリットは計り知れない。

 ここに来て、米国側にも反対論が台頭してきた。韓国の牛肉騒動に米国の世論は「牛肉を輸入しないなら、韓国製のクルマを買うのはよそう」と反発している。民主党の大統領候補であるオバマ上院議員は、ブッシュ大統領に公開書簡を送り、「米韓FTAは非常に欠陥のある協定だ」とし、批准案を議会に上程するなと要求。クリントン上院議員も、批准には韓国の対米貿易法規違反をただすのが先決と反対を表明しているという。これは、支持者確保に向けた政治的パフォーマンスとみられるが、国際協約を反古にするような発言はどうか。

 韓米両国は、1年以上の時間をかけ、ケンケンガクガクと議論を重ねて、両国が互いに利益を得られると結論付けてFTAを締結したのであり、速やかに批准できるよう、牛肉問題の解決に向けた対策が求められる。(G)