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2009/11/20

<鳳仙花>◆APEC20年と韓国◆

 APEC(アジア太平洋経済協力会議)が今年設立20周年を迎えた。1989年11月、ベルリンの壁が崩壊する激動の時代に誕生した。当初閣僚級の会議だったが、93年から首脳会議が開催され、メンバーも設立時の12から21カ国(地域)に増えた。韓国は設立に参加したキーメンバー国で、このほどシンガポールで開かれた首脳会議ではFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)構想を提案、共同声明に盛り込まれた。ぜひ実現してほしい課題だ。

 いま、この地域では様々な国際的枠組みが形成されつつある。ASEAN(東南アジア諸国連合)に韓日中を加えたASEAN+3は今年で10年目だ。またインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた東アジア首脳会議も4年目を迎えた。さらに、シンガポールとブルネイとチリ、ニュージーランドの4カ国からなるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)があり、特に、「米国は太平洋国家」と宣言したオバマ大統領の登場で、米国の関与が鮮明になっている。また、東アジア共同体が提唱されるなど共同体論議も活発化している。

 共同体の先輩としては27カ国が加盟するEU(欧州連合)がある。キリスト教的な宗教、文化背景をもつ欧州と比べ、アジア太平洋諸国は、歴史と人種、宗教、文化的背景が異なり、一つに束ねるのは容易でないが、共同体は今後の目標に違いない。

 このような時代潮流の中で、韓国は自由貿易の推進に積極的に取り組んでいる。貿易依存度が高い韓国にとって、それが生きる道でもあるが、FTA(自由貿易協定)への取り組みが特に注目に値する。この間の実績をみると、ASEANとはすでに発効しており、EU、インドとも来年発効の予定だ。韓日中FTA推進にも合意をみた。米国とは批准を残している状態だ。

 来年は横浜でAPEC首脳会議が開かれる。李大統領が提唱したFTAAP構想を具体化する場となるが、主催国日本との協力を強めるなど自由貿易推進の先導役として国際的発言力をさらに強めてほしい。(S)