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2009/06/26

<鳳仙花>◆東アジア経済共同体の推進◆

 韓国財界トップの趙錫来(チョ・ソンネ)・全国経済人連合会会長が、ソウルで開かれた世界経済フォーラム(別名ダボス会議)東アジア会議で、「東アジア諸国は経済運用で大きな過ちを犯していないにもかかわらず、世界的な金融危機の犠牲になった」として、今後は対外要因によって東アジア経済が振り回されることのないよう、ASEAN(東南アジア諸国連合)+3(韓日中)が参加する東アジア経済共同体の結成を呼びかけた。ぜひ実現すべき重要な提案だと考える。

 東アジア共同体論議は早くからあったが、1997年のアジア通貨危機を契機に本格化した。ASEAN+3首脳会議が定例化し、05年からはインド、オーストラリア、ニュージーランドが加わった東アジアサミットが始まった。これと並行する形で各国間のFTAも推進されており、韓国とASEANとの間では2年前に発効、貿易増大の効果を挙げている。EU(欧州連合)などと比べ、人種・宗教・経済・文化などが多様で共同体結成は容易でないが、現実は経済を軸に共同体へ向けてのレールづくりが進んでいる。

 すでにこの地域の経済の相互依存関係は一段と深まっているものの、共同体意識は十分に育っているとはいえない。その意味で先日済州道で開かれた韓国・ASEAN首脳会議のような場作りは重要だろう。特に、11カ国の52種類の楽器と80人の奏者らで結成された韓国・ASEAN伝統オーケストラの演奏に興じることで、お互いの友誼を深める契機にもなった。

 共同体にも様々な段階があるが、趙会長の提案は、貿易にとどまらず資本・労働などの自由な移動が当面の目標になるだろう。それは経済発展を通じてこの地域の共同繁栄につながるはずであり、一歩一歩前進させるべきだろう。そこに韓日の積極的な役割があると思う。28日の李明博大統領と麻生太郎首相との首脳会談では韓日FTA問題も話し合われるというが、ぜひ交渉再開を宣言してほしい。共同市場化は時代の要請であり、それは東アジア経済共同体実現を後押しするものになるだろう。(S)