ここから本文です

2011/04/01

<鳳仙花>◆大震災多言語情報の充実化を◆

 東日本大震災から3週間になる。死者・行方不明者2万7625人、(3月30日現在、警察庁まとめ)で、被災者も10数万人という被害の大きさに驚くばかりだ。被災者には外国人も含まれているが、交通網・通信網が破壊されるほどの巨大地震だったこともあり、正確な実態はつかめていない。

 1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、外国人の多住地域も被災し、多言語の情報提供が課題となった。同震災を契機に在日コリアンと日本人が力を合わせて発足させた「FMわいわい」は、多言語FM局の走りとなり、現在も多くの市民ボランティアによって、10種類の言語で放送が続けられている。

 また阪神・淡路大震災では、国籍・人種を問わず多くの市民ボランティアが被災者支援を行い、ボランティア元年とも呼ばれた年だった。多言語の電話相談やインターネットを使った情報提供なども、同震災を契機に市民や自治体が取り組むようになった。04年の新潟県中越地震では、多言語による地震情報が外国人支援に効力を発揮したとの事例もある。

 今回の東日本大震災では、被害規模が甚大だったためか情報提供が不十分なまま、多くの外国人が不安な日々を過ごさざるを得ない現状だ。

 現在、宮城県仙台市が「災害多言語支援センター」をスタートさせ、韓国語、中国語、英語などでの電話相談を行ったり、市民団体や東京外国語大学の学生などがネットで多言語の災害情報を発信している。さらにツイッターによる多言語情報発信も行われている。

 しかし、多言語情報はまだまだ不足しており、被災情報だけでなく福島原発の現況についても詳細に知りたいという声も多い。

 日本には約220万人の外国人が生活している。国や自治体が先頭に立って、多言語の情報提供を充実化させてほしい。(L)