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2013/01/11

<鳳仙花>◆政権引き継ぎ委員会の役割◆

 朴槿惠次期大統領の政権引き継ぎ委員会のメンバーが決まり、活動を開始した。26人の委員のうち、16人が学識経験者で、専門性を生かした実務型委員会といえる。同委の役割はいうまでもなく、2月25日の大統領就任式までに政府の組織改編や基本政策づくりなど新政権のスムーズな発足を準備することにある。新政権がどんな方向に進むのか、「政権の性格と成敗まで分かる未来の鏡」といわれるほど重要な役割があり、その活動を注視せざるを得ない。

 今回の政権引き継ぎ委員会の発足は、金泳三政権以降で最も遅かった。それだけ人選に慎重を期したということだろうが、すべきことは多い。まず、現政権の功罪を遠慮なく評価し、新政権の国政運営の反面教師とすべきだろう。その意味で、現政権が発足直後に「狂牛病事件」で危機に陥ったことは教訓的だ。

 新政権の当面した課題は、経済難の克服に加え、広がった格差を縮小し、社会を安定化させることだろう。様々な政策が考えられている。例えば、深刻化する家計負債問題とハウスプア問題の解決のため18兆ウォンの国民幸福基金の設置や中小企業適合業種の法制化などが検討されている。

 韓国版ベバリッジ委員会を大統領ないし国務総理直属のもとで設置する案も浮上した。福祉財源100兆ウォン時代を迎え、部署別に分散した福祉プログラムを一元管理する統合調整機構だ。ベバリッジ委員会とは、英国で第2次世界大戦後の国家ビジョンを提示するために設置された委員会。「ゆりかごから墓場まで」を目標に社会保障や雇用施策の充実に貢献した経済学者・ベバリッジ氏の名からとった。韓国版ベバリッジ委の新設は、福祉問題に対する本格的な取り組みを意味しよう。

 朴次期大統領は、公約実現を最も大事にしている。「国民大統合」がスローガン倒れに終わらないためにも、最初が肝心だ。昨年末の52対48の大統領選挙結果が示すように、国民の保革の勢力はほぼ二分されている。政権引き継ぎ委は、反対派も納得させる覚悟で基本政策を提示する重大な責務がありそうだ。(S)