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2013/09/06

<鳳仙花>◆韓国農業の6次産業化◆

 韓国で農業の6次産業化が本格的に始まった。政府が音頭をとり、2017年までに売上高100億ウォン以上の6次産業農家1000世帯を育成し、農外所得の増加率を現在の4・6%から7・5%に引き上げる計画を推進している。これにより、農村地域の雇用を2万人増やせるとしている。新たな農業活性化策として期待したい。

 6次産業といっても、まだ聞きなれない言葉だ。農業は1次産業に分類されている。これに食品加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)を加え、農業者が主体的に関わることによって、加工賃や流通マージンなど今まで2次・3次産業の事業者が得ていた付加価値を、農業者自身が得ることによって農業を活性化させようというものだ。

 折りしも先日、高付加価値産業に変身中の韓国農業の現在を紹介する「6次産業博覧会」がソウル郊外の展示場で開かれ、全国74の市・郡の代表的郷土製品が展示された。この開会挨拶で李桐弼(イ・ドンピル)・農林畜産食品部長官は「農業に創造的アイデアを加え、付加価値を高め、より良い農村にする鍵が6次産業にある」と強調した。

 李長官は1995年に日本で6次産業の概念を知り、これを国内に初めて紹介し、地域農家が自発的に参加できるモデルを作ることが重要だと訴えてきた。その担い手として、農業高校や農業専門大学出身の若者と知識・資本・ネットワークを持つベビーブーマーが帰農し、多様なアイデアが集まっているという。

 韓国農業は国民経済的にみれば、1割産業にまでウエートが下がっている。農家人口は90年の666万人から半分以下の300万人にまで減少しており、その半分近くが60歳以上だ。農村人口が急速に高齢化しており、後継者問題も深刻だ。農業の活性化は重大課題であり、朴槿惠政権の国政課題にも選定された6次産業化を第2のセマウル運動として推進する価値があると思う。(S)