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2004/07/02

<韓国経済>労働ストに一斉突入

 自動車業界の労組が6月29日、民主労総の総力闘争に合わせて全面ストライキに突入、「夏闘」は大きなヤマ場を迎えた。労使交渉の決裂で労組が全面ストに突入した韓美銀行は、正常営業が不可能な状況で、顧客への影響も出始めている。今年は民主労総が「イラク派兵撤回」を闘争の要求項目に組み入れていることから、労使問題のみならず、政治論争に発展する気配をみせている。

 現代自動車労組は先月29日の全面ストに続き、30日もストを続行。民主労総の闘争に呼応して、労組は士気を高めている。民主労総は、今月20日に3次総力闘争を実施する方針だ。金属労組も、今月1日と5-7日に部分ストを決行することを決定。金属連盟と化学繊維連盟もそれぞれ7日と18日にストに突入する。

 公共連盟傘下の地下鉄労組など5団体は、1日に2次組合員決起大会を開催、5-7日にストの是非を問う組合員投票を行い、中旬にもストに入るもようだ。

 これに伴って、自動車業界に続いて主要業界労組のストおよび民主労総の3次総力闘争と目白押しで、今月中旬まで「夏闘」が続く見通しだ。

 民主労総は、総力闘争で▽イラク派兵撤回▽労働条件に支障のない週休二日制実施▽労組に対する訴訟および仮り差し押さえ撤回▽非正規職の差別撤廃▽金属産業の最低賃金保証▽産業空洞化対策樹立▽社会貢献基金造成--を要求している。

 本格的なスト突入で、経済の大きな打撃が予想されるが、労使双方とも、今回の「夏闘」は短期間で終わると予測している。労組側には、内需不振と景気低迷のなか、強硬な闘争を展開すると、世論の反発を招くからだ。

 しかし、週休二日制実施への組合員の期待感が大きいうえ、金属連盟、化繊連盟など製造業は、週2交替制などの原則で労使が一歩も譲らない姿勢を見せており、例年通り交渉が難航することも予想される。さらに、民主労総が「イラク派兵撤回」を要求していることから、単純な労使問題を飛び越え、政治問題に発展する可能性が高く、短期収拾は難しいという見方も少なくない。

 一方、自動車メーカーのストによって、先月29日だけで2000億ウオン以上の損失を招いた。労組がシティ銀行との統合問題で雇用保証などを要求し、先月25日にストに突入した韓美銀行も大きな被害が出ている。本店の閉鎖をはじめ全国の店舗で窓口業務がマヒするなど事態は深刻だ。