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2004/03/12

<韓国経済>非正社員待遇改善 労使間の最大争点に

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    パートなど非社員の処遇をめぐって労使の対立が激化しそうだ

 非正社員の待遇改善問題が今年の労使関係の最大争点に浮上してきた。韓国経営者総協会(経総)は、労働者の採用は企業固有の権限であり、韓国労総が最近作成した団体協約指針をすべて受け入れることはできないと発言。これに対して韓国労総は、「労働界への宣戦布告」という声明を発表し、対決の度合いを強めている。

 経総は8日、全国4000余りの事業所に「2004年団体協約対応指針」を配布し、これを通じて、非正社員採用時の労使合意、非正社員の正社員転換、非正社員と正社員の同等待遇など労働界の要求を拒否するよう勧告した。さらに「労働者の採用と運用は企業の独自の権限であり、基本的に労組との交渉の対象ではない」とし、非正社員の賃金を一律に正社員の85%以上にするべきだと主張する韓国労総の団体協約指針は決して受け入れられないと宣言した。

 韓国労総が3日発表した団体協約指針は、正社員の賃金引き上げのほか、正社員の出産、育児、病気などで一時的に欠員が生じた場合に採用している臨時職について、常勤が可能な仕事に転換し、正社員に登用するなど、広範囲な非正社員の処遇改善案が盛り込まれている。

 経総は受け入れられない理由として、正社員であろうとなかろうと、採用に関する問題は基本的に経営者の自由裁量に任されているという立場をとり、各企業の内部事情を考慮せず、一律に非正社員の待遇を正社員と同水準に引き上げれば、数兆¥ウオン¥の負担増になり、不利益が大きいと主張している。

 経総の金栄培副会長は、「労・使・政委員会の雇用創出という社会協約により、企業も非正社員の処遇改善には努力する」としながらも、「しかし、非正社員の処遇改善は労働者の賃金安定と雇用の柔軟性を前提に各企業の実情にそって実施されなければならない」と語った。

 経総は、今月中にも大企業の労働者の賃金引き上げ凍結を骨子とした賃金ガイドラインを発表する予定で、労使の対立は避けられないもようだ。