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2006/12/08

<韓国経済>大手財閥グループ・人事を前倒し実施

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       新世界は鄭溶鎭副社長を副会長に昇進させ、後継体制を固めた

 2007年の財界人事が前倒しされている。例年だと、主要財閥グループの人事は12月中旬または翌年の1月に集中していたが、今年は1カ月ほど早い。この原因は、ウォン高、原油高、北朝鮮の核リスクが持続し、来年末の大統領選挙を控え、2007年の経営体制を早期に確立し、経営環境の変化に柔軟に対応していく布石とみられている。

 錦湖アシアナグループは1日、大規模な役員人事を断行した。これに先立ち社長人事を10月末に繰り上げ実施するなど、素早い対応が目立つ。この動きは、大宇建設の買収で新たなグループの飛躍をめざすための措置とみられている。

 今回の役員人事で61人(専務7人、常務17人、理事37人)が昇進。また、大宇建設の新社長に朴昌奎・大宇建設土木・公共部門副社長を起用した。新たに選出された役員の中で目を引くのは、朴三求会長の子息、朴セチャン・戦略経営本部理事(31)と、グループ初の女性役員となる韓ヒョンミ・アシアナ航空理事だ。朴セチャン氏が入社1年で戦略経営本部理事に昇進し、本格的な跡継体制に入るもようだ。

 一方、現代重工業グループも、金光明・顧問を海洋プラント部門総括社長に、4人の専務を副社長に昇進させるなど、2002年の分離以来最大の97人の役員人事を断行した。13人が専務、29人が常務、3人が理事に昇進し、新役員は史上最大の47人にのぼる。

 このほか、新世界グループが、具学書社長(60)と鄭溶鎭副社長(38)をそれぞれ副会長に昇進させるなど、計54人の定期役員人事を実施した。特に、鄭副社長の副会長昇進で2世経営体制を固めた。鄭副会長は父の鄭在恩・新世界名誉会長から株式の贈与を受け、李明熙・新世界会長(15・33%)に次ぐ大株主(9・3%)になっている。

 現代自動車グループが1日、系列社のトランスミッション会社ダイモスの朴承夏社長(55)を現代製鉄社長に、現代製鉄の梁承錫社長(53)をダイモス社長に起用する人事異動を発表した。物流・購買の専門家である朴社長の現代製鉄への異動は、唐津一貫製鉄所の建設を効率的に推進するのがねらい。また、マーケティングの専門家である梁社長をダイモスに迎え、グローバル部品メーカーをめざす。

 今年の人事で、財界の「長寿CEO(最高経営責任者)」である尹鍾龍・サムスン電子副会長(62)、金東晋・現代自動車副会長(56)、金雙秀・LG電子副会長(61)の3人の去就が関心を呼んでいる。

 サムスンは、事業部間の力関係が複雑で、調整役を探すのは容易ではない。現代自も不正資金事件の後遺症と実績不振という難題を抱えている。LG電子は、金副会長がCEOになって3年しか経っていない。こういった状況から、3人の副会長は留任するとの公算が強い。

 一方、オーナー3、4世の昇進も話題になっている。すでに一部のグループでは3、4世の昇進によって「司令塔」が代わるなど、世代交代が始まっている。特に今回、新世界グループの副会長に昇進した鄭溶鎭・副社長と同い年の李在鎔・サムスン常務が昇進するかどうかに財界が注目している。