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2007/10/12

<韓国経済>北朝鮮に豊富な原油埋蔵

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 北朝鮮の油田開発が南北頂上会談で話題にのぼったと伝えられ、北朝鮮の油田開発に対する関心が急速に高まっている。政府が関心を寄せている地域は西韓湾で、開発が有望だとみているが、油田探査に関する協議に入るには時間がかかるとみられている。南北が油田の共同開発に合意しても、紆余曲折が予想され、実際に開発に着手できるまでには10年以上かかる見通しだ。

 北朝鮮で油田地帯と推定されている地域は、西韓湾、温泉、安州、平壌、東韓湾、吉州、鏡城湾の7カ所。このうち安州と平壌は陸地で、残りは大陸棚だ。原油の埋蔵の可能性は陸地よりも海上のほうが高いと推定されている。韓半島では、内陸から石油が出た例がなく、韓国でも蔚山沖合で1日1万バレル程度の天然ガスと硬質油を生産しているのみだ。

 政府は、海上油田の中で東海より西海に注目している。産業資源部によると、油田は堆積層に多くみられるが、西海にはこの堆積層があるという。特に西韓湾は、中国・渤海湾油田に近く、埋蔵量が50億-60億バレルと推定されている。韓国石油公社は、北朝鮮で原油探査の価値がある地域は、西韓湾、東韓湾、吉州と分析している。

 北朝鮮の油田開発については、南北経済協力共同委員会で協議することになる。南北首相級会談が11月に開催されるが、そのときに南北経済協力委も開催される見通しだ。

 油田開発は、鉱物資源の共同開発と同じように韓国が資本と技術、北側が労働力を提供し、生産量を一定比率で分ける方式になりそうだが、協議する段階に至っていないため、具体的な内容は不透明だ。

 産業資源部は、事業性のあるものに投資し、北側も開発資源を確保できるという共栄方式をとるという基本原則以外に決定事項は何もないとし、開発までには膨大な時間がかかるとみている。北朝鮮側は埋蔵の可能性を示唆しているが、基礎調査、ボーリングなどをへて本格的な生産に着手するまでに最低10年はかかるもようだ。

 まず地下構造を探査し、電算処理と解析を行う鉱区評価だけで2-3年を要する。それも探査資料が豊富にある場合の話で、北朝鮮のように資料がほとんどなければ、5-10年かかる。ボーリングにも1年以上かかり、それで油田が発見されれば、埋蔵量の確定作業に入る。これにも2-3年かかり、それからようやく生産に着手する。こういったプロセスを考えると、北朝鮮との油田共同開発の道のりは遠い。