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2009/05/18

<韓国経済>資金と人材不足技術開発の足枷

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    R&D投資熱は高まっているが、先進国との技術格差はまだ大きい

 産業資源部が、技術研究所を持つ805社を対象に今年のR&D(研究・開発)投資計画を調査したところ、R&D投資額は10兆500億ウオンにのぼり、昨年よりも10・4%増えた。これに、政府が計上している今年のR&D支援予算(4兆4276億ウオン)を合わせるとR&D投資は14兆4776億ウオンとなり、昨年に比べ12・7%増加する。しかし、R&D投資と技術開発力、技術蓄積などを総合的に考慮した韓国の技術開発力は、米国の17分の1、日本の11分の1レベルで、今後の大きな課題となっている。

 同調査によると、中小企業とベンチャーの半分以上が技術開発研究所の運営期間を「5年未満」と答えている。研究所運営期間が2年未満の企業は244社で、全体の30%にのぼり、新技術開発に不可欠の研究人材の確保はもちろん、基礎研究資料さえも十分にない企業が多い。

 また、R&D投資が5億ウオン以下の企業が474社で、全体の58・8%にも達している。1億ウオン未満と答えた企業も72社(8・9%)だった。研究員の数でも全体の78・1%(629社)が20人未満と答え、ほとんどの技術研究所が零細だ。

 技術集約的なベンチャー企業が、最近になってR&D投資を大幅に増やしていると分析しているが、今回の調査は全般的にR&D条件が整っている企業が少ないことを裏付けている。

 一方、R&D投資と関連して企業が最も頭を抱えている問題は、研究人材と資金の確保難で、政府の支援策が必要であることがわかった。調査対象企業の56・8%が、人材確保及び技術者養成問題がR&D活動を妨げる大きな原因として挙げ、次いで資金難(35・5%)、開発技術の事業化と技術移転(26・7%)が障害になっていると答えている。

 産業資源部は、「R&D投資に対する政府と企業の意欲が高まってはいるが、先進国と比較すると、技術力は米国の17分の1、日本の11分の1で、大きく遅れをとっている。新たな技術力の確保は、今後100年の国家の競争力を左右する重要な問題だ」と指摘している。