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2010/07/16

<韓国経済>基準金利2・25%に 韓銀、出口戦略が始動

  • 基準金利2・25%に 韓銀、出口戦略が始動

 韓国銀行が金融通貨委員会を開き、基準金利を年2・0%から2・25%へ0・25%引き上げた。基準金利の引き上げは金融危機直前の2008年8月(年5・00%から5・25%へ引き上げ)以来のことで、世界金融危機以降17カ月ぶりだ。韓国の基準金利は世界金融危機を契機に下がり続け、昨年2月に2・25%から史上最低の2・00%となってから16カ月連続で据え置かれていた。

 需給によって動く「市場金利」とは違い、金融通貨委員会で決定する基準金利は政策的判断が反映されている。今回の金利引き上げに対して金仲秀(キム・ジュンス)・韓銀総裁が「今後の方向を提示したもの」と説明したことからも、金利引き上げは「終わり」でなく「始まり」を意味している。

 また、金融危機の際にとられた非常措置を正常化させる出口戦略へと本格的に舵が切られたことを表している。

 金利がどこまで引き上げられるかも関心事だ。韓銀は年3・0~3・25%を妥当な水準と判断している。韓銀関係者は「年2・0%の基準金利は金融危機に対応するためであり、景気浮揚のための水準へ段階的に引き上げることが必要」と伝えた。

 金融危機前の最低水準の金利は04年の年3・25%で、当時はクレジットカードの負債増大による不況を打開するため低めに設定された。ひとまず韓銀は、その水準まで金利引き上げを進める方針だ。

 当初、基準金利引き上げは8~9月頃と予想されていた。しかし、1~2カ月早く断行されたのは、様々な要因が働いたためと解釈されている。

 韓国経済は今年第1四半期(1~3月)に前年同期比8・1%成長を遂げ、第2四半期(4~6月)も7%以上の成長率を記録すると見込まれている。

 グローバル金融市場が欧州財政危機で揺らいだとしても、韓国経済は十分に耐えうるという韓銀の判断がある。政府も今年、韓国経済が年間で6%近くの高成長を記録するとみている。

 これとともに、世界経済に「二番底」(景気回復後の再下降)は現れないという韓銀の判断もある。

 インフレーションの判断材料である消費者物価上昇率は、5月と6月それぞれ2・7%、2・6%を記録した。韓銀の中期物価安定目標値(3%)を下回る水準だ。韓銀は下半期から低物価水準を維持しにくいと見ている。景気回復に伴う所得増加により需要が増えるからだ。

 消費者物価上昇率は下半期に3%を超え、来年には年間平均で3%を上回ると予想されている。物価安定が命題の韓銀としては、金利引き上げでインフレに備えるしかない状況だ。

 しかし、金利が引き上がれば、利子負担も増える。

 サムスン経済研究所は、金利1%の上昇によって企業は年間5兆5000億ウォン、家計は年間1兆4000億ウォンの利子を追加負担することになる、と分析している。これが長期的な消費心理の委縮を招くこともある。金利が上がれば、企業は設備投資を渋る。景気にも悪影響を及ぼす恐れがある。