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2010/01/22

<韓国経済>ブラジルとリビアで鉄道事業

  • ブラジルとリビアで鉄道事業

    鉄道技術研究院と現代ロテムが輸出も視野に入れて共同開発している次世代高速鉄道車両(HSR-350x)

 韓国の建設業界がブラジルやリビアの鉄道事業に参入するなど、海外の大型建設事業への投資を活発化させている。国土海洋部によると、コレイルなどがブラジルの高速鉄道(24兆ウォン規模)とリビアの地下鉄建設(5兆ウォン規模)への入札を進めている。欧州や日本、中国の有力企業との競争になるが、韓国は地下鉄の建設経験と最先端の建設工法をアピールして受注をめざしている。

 国土海洋部が対外経済長官会議で確定した「海外建設現況と活性化案」によると、ブラジル高速鉄道計画は、リオデジャネイロ~サンパウロ~カンピーナスの主要3都市の520㌔を2時間弱で結ぶもので、総事業費は約24兆ウォン。ブラジル政府はサッカー・ワールドカップが開催される2014年に一部区間を開通した後、オリンピックが開かれる16年までの全線開通を予定している。

 同国陸上交通庁(ANTT)は2月から5月まで各国企業から事業提案書の提出を受け、6月に受注業者を最終選定する。現在、韓国のコレイル・コンソーシアムのほか、ドイツ、フランス、スペイン、日本などが入札を進めているほか、今年に入り中国も関心を見せており、今後、受注競争が一段と加熱しそうだ。

 韓国企業は、コレイルのほか、韓国鉄道施設工団、現代ロテム、LS電線、サムスン物産の建設部門、SK建設などで構成されている。京釜(キョンブ)高速鉄道と湖南(ホナム)高速鉄道の建設で培った技術力を背景に、建設コストを他国より20%程度低く見積もり、工期短縮をアピールする方針だ。

 李明博(イ・ミョンバク)大統領も08年11月、財界有力者を連れて同国を訪問し、ルラ大統領と相互協力で合意したほか、ブラジル政府も韓国側に技術移転を求めるなど両国関係も良好だ。このため、政府は受注に自信を見せるが、中国や日本も国を挙げて受注をめざしているだけに、楽観は許されない。

 一方、リビアの地下鉄建設事業は、首都トリポリに地下鉄3路線を建設するもので、事業規模は5兆ウォン。3月に最終事業者が選定されるが、現在フランスとドイツのコンソーシアムとイタリア、中国が競合している。

 建設予定の3路線のうち1つは新空港と都心を直結する路線。韓国としてはソウル市内と仁川(インチョン)国際空港を結ぶ地下鉄建設の経験があるだけに、政府内では競争国より有利ではないかとの期待が高い。

 韓国政府は2012年までに世界の建設大国トップ10入りをめざすという目標を立て、今年は海外建設事業の受注に総力を挙げる。昨年、韓国建設業界の海外受注は過去最大の491億㌦に達した。これを12年までに700億㌦規模に拡大し、世界シェアを2・9%(08年基準、世界13位)から5%台に引き上げる。

 また、海外受注力を高めるために、企画財政部、外交部、知識経済部、国土部などの政府関係部署と、輸出入銀行、輸出保険公社、KOTRA(大韓貿易投資振興公社)、海外建設協会などからなる協議会を設け、専門家の育成などを強化する。具体的には海外プラント建設専門家1400人を1900人に増員するほか、発注元となる国の公務員とのネットワークや海外人材データベースの構築、研修機関の運営などを推進する。