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2013/06/07

<韓国経済>政労使・雇用率70%達成へ雇用協約

  • 政労使・雇用率70%達成へ雇用協約

    協約締結後、握手する左から李熙範・韓国経営者総協会会長、
    房河男・雇用労働部長官、文鎭國・韓国労働組合総連盟委員長

 政・労・使が雇用率70%達成のため、雇用創出で協力することになった。韓国労働組合総連盟の文鎭國(ムン・ジングク)委員長、韓国経営者総協会の李熙範(イ・ヒボム)会長、房河男(パン・ハナム)・雇用労働部長官は、韓国プレスセンターで雇用率70%達成に向けて政・労・使の雇用協約を締結した。この協約に基づき、政・労・使は長時間労働の慣行を改め、良質の時間制勤務を拡大するとともに賃金体系も改善していく。

 今回の雇用協約は、雇用が安定して不合理な差別がなく、基本的な労働条件が保障される良質の時間性勤務の拡大に最大の重点を置いている。

 政府が雇用率70%を達成するためには、今後5年以内に238万人の雇用を創出しなければならない。労働研究院によると、2020年までに労働時間を400時間以上減らし、労働時間減少分の半分を雇用に置き換えても最大169万人分の雇用創出が可能と分析された。

 雇用率上昇のためには、年平均2139時間に及ぶ長時間労働の改善、雇用の分配、女性を労働市場に導くことが必要で、そのための鍵となるのが良質の時間制勤務だ。

 今回の労・使・政の協約は、韓国版ジョブ・シェアリングのモデルを作ったと評価されている。まず、政府は公共部門で先導モデルを作る。時間制勤務の公務員数を拡大し、職務コンサルティングなどによって公共・民間部門で時間制勤務の雇用を誘導する方針だ。

 朴槿惠大統領は、雇用率70%達成のために時間制勤務の雇用の重要性を強調。これを受け、房・雇用労働部長官は「(正規職との)差別がなく、フルタイムとパートタイム間の移動が自由になるよう法と制度を整備する」と明らかにした。

 時間制勤務は増加傾向にあり、時間制勤務を希望する女性は多い。昨年、ソウル市女性能力開発院が出産・子育てなどにより「キャリア断絶」の女性就業者1357人を対象に調査した結果、30%程度が時間制勤務を希望した。適切な賃金とともに、家事との両立を願うからだ。

 しかし、いまだに時間制勤務の待遇は劣悪であり、良質の雇用も不足している。雇用労働部が昨年に雇用形態別の勤労実態を調査した結果、時間制勤務の1時間当たり賃金総額は9521ウォンで、勤労者全体の平均の64%に過ぎない。社会保険の加入率も低く、雇用保険33・8%、健康保険31・5%だった。

 特に、労・使は良質の時間制勤務の雇用拡充のため、労働時間に比例した待遇を実施。また、人事上の不利益を受けないようにし、正規職の採用時に優待する。

 政府は公務員から時間制勤務を拡大し、公共・民間部門で時間制勤務の雇用創出の支援のために職務分析とコンサルティングサービスを提供する計画だ。房長官は「正規職と非正規職の差別をなくし、同一の労働に対しては同一の賃金を適用する方向で時間制公務員関連法と制度を整備する」と説明した。

 協約ではまた、定年延長に伴う賃金ピーク制は個別企業ごとに実施することでも合意した。