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2004/03/12

<総合>ウリ金融人事が引き金

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               ウリ金融の会長に内定した黄永基氏

 黄永基・前サムスン証券社長が、ウリ金融持ち株会社の会長に内定したことを受けて、金融界ではトップの世代交代の嵐が吹き荒れそうだ。黄永基氏がウリ金融の会長に就任すれば、ウリ銀行長を兼任する可能性が高く、そうなると、銀行内の50代役員および支店長の若返り人事が断行される公算が強い。

 黄氏は今年52歳。外資系が大株主に決まった韓美銀行の河永求行長を除くと、国内の都市銀行長の中で最も若く、尹炳哲・現ウリ金融会長(67)よりも15歳若い。このため金融界では、黄氏のウリ金融会長内定が単純なウリ金融の内部問題だけにとどまらず、金融界全体に変化と改革の風を吹き込むことになるとみている。

 黄氏は会長内定の発表を前に、自ら「私は戦場を駆けるプロの戦士」と称し、「ウリ金融の会長になりたくて志願した。これからやりたいことをやる」と述べており、ウリ金融の経営に大ナタを振るうことを暗に示唆した。ウリ銀行がウリ金融持ち株会社の資産の80%以上を占めていることを考慮すると、強いリーダーシップをいかんなく発揮するためには、ウリ金融の会長がウリ銀行長を兼任するのは避けられないとみられる。

 ウリ銀行とウリ金融間の摩擦や意思決定過程での支障が生じることを防ぐためにも、黄氏は、会長と行長を兼任することで支配構造に画期的な変化をもたらす狙いがあるようだ。

 ウリ金融とウリ銀行の役員陣は、ほとんどが今年上期までで任期が満了し、そのうちの相当数が交代する可能性が高い。ウリ銀行の関係者は、「新しい会長が就任すれば、役員のうち相当数が退陣に追い込まれるだろう」と語り、組織内でも人事改革を既成事実として受け止めている。

 他行も黄氏の起用に緊張感を隠せない様子だ。過去に金正泰氏が住宅銀行長に就任し、人事と組織改革を断行し、「金正泰旋風」を巻き起こしたが、黄氏の就任はそれ以上の効果を生み、金融界に変化をおよぼすと戦々恐々としている。

 証券業界でも、CEO(最高経営責任者)の若返りが加速している。証券業協会会長に50代の黄健豪・前メリッツ証券社長(53)が選任されたことで、改革に拍車がかかっている。ウリ金融の会長に抜擢された黄氏も、サムスン証券の社長を務め、若いCEOとして手腕を振るっていた。

 証券業協会は、「売却を控えている大韓投資証券、LG投資証券を含め、今年5|6月に代表の任期が切れる証券会社が15社におよび、証券業界がCEOの世代交代で先頭を走ることになるだろ」とみている。若いCEOが活躍している証券会社は、ミレエセットグループで、朴鈎豌馗ケ(46)をはじめ、崔鉉萬・ミレエセット証券代表(43)、具ジェサン・ミレエセット資産運用代表(40)など、中心メンバーがすべて40代で構成されている。これが業界に刺激を与え、若返り人事に拍車がかかりそうだ。

 しかし、その一方で、このような世代交代の嵐が、過度に年齢だけを重視する風潮を生み、経験を積んだ人材の早期退陣を余儀なくする悪影響をもたらすと懸念する声も出ている。