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2003/12/19

<在日社会>ロッテ入団の李スンヨプ選手 在日ファンに活躍約束

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      李松静夫人にロッテの帽子をかぶせてもらう李承燁選手

 韓国プロ野球最高の打者と評され、今季アジア新記録となるシーズン56号ホームランを記録したサムスンの李スンヨプ内野手が16日、千葉市内のホテルで夫人とともに、日本のロッテ球団への入団会見を行った。会場には在日韓国民団中央本部や民団千葉の関係者も姿を見せ、千葉在住の在日韓国人が中心となって応援団を結成したいと述べた。

 これまで5度の最優秀選手に輝き、ライオンキングの異名を持つ李スンヨプ内野手(27)は今年、サムスンからFA宣言して大リーグ入りをめざしていたが、条件面で折り合わず、日本のロッテが2年契約総額5億円プラス出来高の提示を受けて正式契約を結び、16日に記者会見を行ったものだ。

 この日の会見で李選手は、初対決の日本の投手を考慮して「打率2割9分、ホームラン30本をめざす」と、韓国時代の成績より控えめに宣言するとともに、シドニー五輪で対戦した西武の松坂大輔投手に対しては、「絶対に打つ」と自信を見せた。

 李選手はシドニー五輪で松坂投手と対戦した際、予選でホームラン、3位決定戦では決勝点となる2点2塁打を放ち、韓国チームを銅メダルに導いた実績がある。

 今回のロッテの獲得も、アジア新記録の56号ホームランと並び、松坂投手を打った実績を高く評価したものだ。背番号はサムスン時代と同じ「36」。

 李選手は日本の投手、韓国よりも広い球場に対応するため、バットのこれまでのものより重くし、グリップも短くして飛距離を伸ばす工夫をする。来年1月10日に来日して自主トレを行うことも表明するなど、これまで日本球界入りした韓国人選手が実力を発揮出来なかった轍を踏まぬよう、「日本球界に一日も早く適応したい」としている。

 開幕試合は来年3月27日の西武との対戦(西武ドーム)で、早くも松坂投手との対決が実現する。ロッテは李選手を5番に据える意向だ。

 李選手の入団を受けて、在日韓国民団や千葉県内の在日同胞有志の間では、早くも応援団結成の動きが出ている。

 民団中央、民団千葉の役員有志は16日、成田空港へ李選手を出迎えに訪れるとともに、入団記者会見の場にも参加し、千葉県内で在日韓国人を中心にした応援団を結成する意向を示した。

 ロッテ球場での開幕戦に向けて、300人規模の応援団を準備する予定で、関東各地の在日同胞や、韓国学校の生徒・父母、韓国人留学生・商社員などが「祖国のヒーロー」応援に強い関心を示している。

 また韓国ではロッテ戦のテレビ中継や、日本観光を抱き合わせた「李スンヨプ観戦ツアー」の計画が進められており、こちらも盛り上がりを見せそうだ。関連グッズの販売も計画されている。

 会見には、現役大学生でファッションモデルも務める李松愛夫人も一緒に臨んだ。熱々のカップルとして有名な2人は、空港から手をつないで球場に移動、入団会見では夫にロッテの帽子をかぶせ、仲良く写真撮影に応じた。

 韓国ではCM出演などでも活躍しており、今後、夫妻そろってロッテのCMに出演するのではとのうわさも出ている。

 松静夫人は、「(異国での生活なので)夫をしっかりサポートしたい」とだけ語った。

◆李選手のコメント

 これまで多くの韓国人選手の先輩達が、日本の野球に適応するのが遅れた例があるので、一日も早く適応出来るように努力したい。日本の野球は投手は制球力、打者はミートがうまい印象だ。松坂投手はすごい投手との印象があるし、(シドニーの時より)さらにすごいと聞く。ビデオで研究して対応したい。一生懸命プレーし、チームの勝利に貢献したい。