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2003/12/05

<在日社会>在日企業向け与信専門の金融会社発足へ

 在日同胞企業を主な対象とする与信専門金融会社「SHキャピタル株式会社」が、資本金50億円で近く発足する見通しだ。3日に締め切られた資本金払い込みは50億円を少し超えた。出資上限は3億円で、102人(法人含む)が払い込んだ。これにより、法人設立登記を済ませ、来年2月から本格的に営業展開する計画だ。運営は新韓銀行関係者が当たり、同行は資本金の5%に相当する2億5000万円を出資した。

 在日同胞を株主に新韓銀行が運営するノンバンク--。先ごろ都内のホテルで50人ほどが参加して発起人会が開かれたが、新韓持ち株会社の羅応燦会長、新韓銀行の申相勲銀行長が参加し、懇親会では李熙健・新韓銀行名誉会長(旧関西興銀会長)があいさつした。

 新会社の代表取締役社長は97年から3年間、新韓銀行東京支店長を務めた洪昌弘氏。「この新会社の話は1年程前からあった。成功するように頑張りたい」と語った。

 出資者は東京、大阪をはじめ各地の同胞実業家が中心で、3億円出資者は6、7人にのぼったものとみられる。下限の1000万円単位で出資した信用組合もあった。社長以外の非常勤取締役には大口出資者の兪在根氏、高富仁氏(東京)、金時鐘氏(横浜)、崔泳鍾氏、崔寧錫氏、山住之平氏(大阪)、平川有期氏(奈良)、梁龍雄氏(岡山)の9人。監査役には朴柄憲氏(東京)、鄭進氏(長野)氏、金次永氏(川崎)、鄭興圭氏(名古屋)、都真司氏(大阪)の5人が名を連ねている。

 また、取締役、監査役ほかで構成される経営協議委員会(40人以内)を設置、経営全般に関する諮問を行うと規定している。融資については、代表取締役ほか5人以内の融資審査委員会で融資実行の可否を決める。本社は東京に置き、大阪に支店を設置する予定だ。

 当面しては日本の銀行などから融資を受けられない同胞企業に対する融資業務が中心になりそうだ。

 目標は総合金融会社で、最重点の再生ファンド以外に遊技業などに対するリース業、保険販売、資産管理などにも事業を広げていく計画だが、RCC(債権回収機構)行き企業の不良債権買い上げなど、企業再生作業がどう進展するかが注目点だろう。


 ◆ 解説 ◆

 在日金融業務に詳しい専門家は、BIS(国際決済銀行)規制を受けない今回の融資専門金融会社の性格について、「会社名のS(サクセス)H(ハーモニー)は成功と和合を意味していると説明しているが、基本的にハイリスク・ハイリターンのノンバンクであり、その点を十分考慮する必要がある」と述べた。

 具体的には、信用信組も貸し倒れを避けるため審査を厳しくしているので、融資対象から漏れた企業に対しリスクを覚悟して信組より高い金利で融資する金融業務が中心になると見られている。

 特に、この新会社が設立の動機として強調しているのは、破綻した在日企業の再生であり、「再生ファンド」業務として推進するとしている。「関西興銀、東京商銀など在日信用組合の破綻に伴い、万を超える在日企業は苦境に陥っている。これを救済する金融機関が必要だ」というものだ。

 金融関係者は、「在日のRCC行き債権は1兆円以上にのぼるが、現在の価格では2000億円以下ではないか。在日系の債権は一部オリックスなどに流れているが、まだかなり買い手がついていない。これをいかに安く買い上げ、在日企業の再生を誘導することが大きな業務になるだろう」と見ている。

 SHキャピタル関係者も、「確かにリスクはあるが、在日中小企業の再生という大きな意義がある」と位置付けた。「苦境に陥っている在日企業に救いの手を出す機関が必要だ」(民団関係者)と歓迎する声もある。

 だが、やや性格は異なるかも知れないが、鳴り物入りで発足して6カ月の日本の産業再生機構が四苦八苦しているように、企業再生はそんなに容易でないのも事実である。

 新会社は出発に当たって、1兆円を超えるといわれるRCC行きの債権回収業務から手をつけなければならないが、そのスキームを全面に打ち出し、この金融会社がどんなことをする会社なのかをより明瞭にすべきだ。

 また、「在日を表看板に掲げている以上、対象企業、選定基準などを同胞向けに詳細に公表し、経営の透明性を徹底すべきではないか」という在日社会からの声を留意すべきだと思う。