13日は成人式。在日韓国民団が主催する成人式も、各地で行われた。希望に燃える在日新成人に話を聞いた。
◆司法試験に挑戦 -金泰弘さん(大阪大学1年生、在日3世)-
中学生のころから医者か弁護士になりたいと思っていた。国際法を勉強して韓日貿易の現場で弁護士の仕事が出来ればいいと希望しているが、最近では民事や刑事裁判の仕事も面白いかなと考えている。
在日で初めて弁護士になった人の話は両親から聞いた。中学では民族学級に通っていたが、そこの勉強会でも聞いた。
本名でずっと学校に通っていたし、在日密集地の出身なので差別を体験したことは正直ないが、いま法学部に通っていて、弁護士にはなれても検察官にはなれないのはおかしいと思う。
友人で帰化した人はいるが、自分はしたいとは思わない。在日に誇りを持っているし、それをまた伝えていきたい。しっかり勉強して司法試験に一日も早く合格したい。
◆懸け橋の仕事を -金奈緒美さん(ソウル大学2年生、在日3世)-
建国学校を卒業してからソウル大学言語学科に入学した。いまは韓国語と日本語の比較研究とかをしている。
将来は学者の道を歩むか、普通に企業に勤めるか、まだ模索中。卒業後、韓国で生活するか日本で生活するかも決めてはいない。
どちらにしても、せっかく韓日両国の立場がわかる在日に生まれたし、韓国語と日本語と両方出来るので、韓日の懸け橋になる仕事をしたい。
日本で育ち韓国に留学して、やはり在日は狭間に生きているということを実感した。でもそれを否定的に受け止めたことはない。両方知っているのはプラスだと思う。
北朝鮮の日本人拉致事件は韓国で聞いたけれども、本当に驚いた。
冬休みで日本に帰ったら、建国にも脅迫電話があったことや、妹が建国に通っているが、路上で嫌がらせを受けたことを聞いた。だから他人事とは思えない。はやくこの問題が解決してほしい。
◆大学病院へ -丁保鉉さん(高麗大学医学部2年生、在日2世)-
医者になるのが小さいときからの夢だった。将来は小児科か内科の医者になりたいと考えている。学生は130人いるが、そのうち40人が女性だ。私の1学年上のクラスでは、150人の学生中、半分の75人が女性。韓国では医者を目指す女性は多い。
韓国で2年間生活して、こちらの生活がとても気に入った。実力を持った医師になり、将来は韓国で大学病院に勤務したいと考えている。韓国は日本より医療ミスは少ないと思うが、病院設備や医療機器は日本のほうがすぐれているようだ。
年末、大統領選挙で学生も盛り上がっていたが、在日は韓国でも日本でも選挙権がない存在であることを実感した。せっかく大人になったのに残念だ。
◆福祉業に関心 -崔裕子さん(専修大学1年生、在日3世)-
在日の集まりに出たのは今回の成人式が初めて。同じ在日の人たちと話が出来て、抱えている問題は同じことを知った。友人も出来たのでとても良かった。韓国への関心が最近強くなった。
大学では第2外国語に韓国語を選択している。例えば韓国と日本での合コンの違いとか、韓国の若者の日常生活も知りたい。韓国にまだ一度も行ったことがないので、成人になったのを機に行ってみたい。
これからは福祉関係の仕事が大切になる時代。福祉機器を扱う企業で働くか、公務員になれたらとも考えている。大学でしっかり勉強しながら、目指す道を見つけたい。