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2004/02/27

<在日社会>在日韓国民団第57回中央委 福祉事業を重点課題に

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    「歴史資料館」開設問題などを話し合った第57回定期中央委(26日、韓国中央会館)

 在日韓国民団中央本部の第57回定期中央委員会が26日、東京・南麻布の韓国中央会館で開かれた。民族金融機関の支援と在日同胞経済再生、「歴史資料館」の開設、脱北者支援センター問題などが討議されたが、実現のためには課題が山積している。

 金団長は「来年は在日同胞の形成の一つの契機となった乙巳条約から100年、韓日国交樹立から40周年になる。その前年の今年は未来を展望する重要な年になる」とあいさつ。続いて①民族金融機関の支援と在日同胞経済再生のために②組織強化活性化事業③福祉事業の推進④民族教育・文化振興などの各分野で報告がなされた。

 民族金融機関については、在日韓国人信用組合協会の統一預金キャンペーンが516億3900万円という目標を上回る数字をあげたことを報告したうえで、信用組合自らが設置した「合併推進委員会」の努力を期待し、民団、韓商、信用組合で構成した「同胞金融支援協議会」の持続的な活動の必要性を強調。

 福祉事業の推進では、2年前から「老人ホーム建設」運動を推進してきた婦人会、それに専門家の参与を得て「民団福祉事業推進協議会」を設置、具体化のための検討を行ってきたことが話された。民族教育・文化振興では、「在日同胞歴史資料館」開設のための歴史資料調査委員会と開設推進委員会を構成したことなどが報告された。

 次に2004年度活動方針案が話し合われた。

 歴史資料館については推進委員会の活動を強化し、写真やフィルムなど「在日文化・歴史遺産」の調査・発掘を継続していくことが確認されたが、開設場所の確保が大きな課題として残された。歴史問題については、2005年採用予定の問題教科書の不採択運動を準備すること、「在日同胞史」を発行することなどが確認された。

 福祉事業については、老人ホーム建設運動を促進し最初の建設地を関東地域として候補地を探すこと、民団各支部に老人会を結成する、支部会館で65歳以上の高齢者(国籍不問)を対象に食事やレクリエーションサービスを提供する、などが議論された。

 民族金融機関問題では、安定した経営基盤作りのために韓日両政府の支援を要請していくこと、統合推進計画を支援していくこと、預金増強運動に積極的に参与することなどが確認された。

 団員の中からは、「金融機関への支援を言うなら、商銀の経営破綻と関連し問題のあった人たちを民団の役員から完全排除すべきだ」「歴史資料館も老人ホームも、建設費から維持費、運営体制に至るまで、相当な準備と資金が必要だ。きちんとした計画書を作り、団員に示してほしい」「昨年の団長選手で民団の改革が強調されたが、真に団員のためになる鮮明な組織改革、内部浄化を行ってほしい」などの声があがっている。また、「金融問題で韓日政府への支援要請返上し、在日だけの力で努力が先決だ」との声も多くあがっている。