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2005/01/14

<在日社会>各地で在日新成人祝う・在日の自覚大切に社会貢献忘れない

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    民団大阪の成人式には129人の新成人が参加した(写真・上)。
    写真・下は民団役員と共に記念撮影を行う神奈川の新成人

 11日は成人式。在日同胞の新成人も、各地で大人の仲間入りをした。3、4世がほとんどの新成人。祖国や民族、在日についてどう考えているのか、話を聞いた。

金秀美さん(聖ヶ丘教育福祉専門学校)

 4月から幼稚園の先生になる。子どもと同じ目線で、子どもたちの成長に役立てる先生になりたい。米国やアルゼンチン、アジア系など外国人の子どももいるので、国際色豊かな教育もしてみたい。本名で先生になるので、私という存在を通して子どもたちや親が、コリアについて関心を持ってもらえればと思う。


鄭栄憲さん(高麗大学)

 韓国人なのに韓国語を知らないことに違和感を感じていたので、高校卒業して韓国留学を決意した。現在社会学科に在籍しているが、韓国社会、そして在日の存在についてしっかりと勉強するつもりだ。

在日は歴史の中で作られた特異な存在。以前は指紋押捺があったし、参政権はいまもない。不利な状況がいまも続いているのはおかしいことだと思う。将来は在日の役に立つ、人の役に立つ仕事をしたいし、父が組織で在日のために活動しているので、自分も組織活動をしてみたい考えもある。

 神奈川の在日韓国青年会に参加しているが、自分が勉強するだけでなく、地域に住む在日の小学生、中学生に、コリアについて学ぶ機会を提供できればとも考えている。夏休みにはオリニ(子ども)キャンプを成功させたい。


朴永敦さん(会社員)

 ライン管理の仕事をしながら、夜は民団東京足立支部で青年会活動をしている。昨年先輩たちの成人式を見たが、自分がいざ迎えてみると、しっかりしなくてはいけないなと改めて決意した。子どものときにオリニキャンプに出たのがきっかけて、ルーツのことを学んだ。

 小さい時から在日であることを自覚するのは、自分の体験からすごく大切と思う。いまの子どもたちもそういう体験ができるよう、オリニキャンプに力を入れて活動していきたい。また同年代の仲間が支部に集まるようにしたい。


宣甲夫さん(韓国外語大学)

 高校2年の時に、それまで使っていた日本名から本名(韓国名)に変えた。韓国語を話せるようになりたいと思い、卒業後韓国留学した。韓国語の上達には日本語学科がいいと勧められ、外語大学の日本語学科に通っている。源氏物語の韓国語訳にチャレンジしているが、とても難しく、その分勉強になる。将来は語学力を活かした仕事につきたい。

 人として常に正直に生きたいし、そのために本名に変えた。成人になっても、正直に生きることを常に忘れずに活動したい。


高美香さん(昭和女子大学)

 料理が好きで栄養士になろうと高校生のときから考えていた。最近は薬と食事の効果を複合的に考えた治療が行われているので、医学的知識を持って献立を考えないといけなく、勉強が大変。卒業したら病院に勤務して、糖尿病の患者とか、回復に役立つ料理プログラムを考えてみたい。

 日本の成人式に着物、民団の成人式にチマチョゴリ(民族衣装)を着て参加した。2つの文化を楽しめるのが在日だと思う。韓国語も勉強して、韓国を旅行した時に話せるようになりたい。一方で在日にはまだ就職差別などの問題が残っている。日本で生まれ育っているのに、公務員になるのに制限があるのはおかしい。


許禎娥さん(東京外国語大学)

 第2次世界大戦時のナチスによるホロコーストを知って、人間はなぜあれだけ残虐なことが出来るのか研究しようと考えた。特に被害のひどかったポーランドについて知るため、東京外大のポーランド学科に進んだ。
 
 まだ学生なので、成人を自覚するのは就職してからと思う。親の仕事の関係で韓国での生活経験もあり韓国語を話せるので、翻訳・通訳の仕事にも挑戦してみたい。
 
 在日には歴史や差別の問題もあるが、自分は暗い側面よりも、両方の文化を知っているプラスの側面を見て生活したい。ヨン様ブームは韓日の文化を接近させる役割を果たしたし、在日にもプラスになると思う。新しい時代を前向きな考えで生きていきたいと思う。