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2006/11/03

<在日社会>政府補助金3年で24億円・民団の放漫使用実態にメス

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    鄭進体制で初の民団団長会議

 韓国政府から在日韓国民団(鄭進団長)に毎年支給されている政府補助金の使用実態について、韓国政府から厳しい監査と指導がなされたことが明らかになった。10月30日、東京・南麻布の韓国中央会館で開かれた「2006年度後半期全国地方団長・中央傘下団体長会議」で報告された。

 報告によると、2003年度から3年間(金宰淑団長当時)を対象期間に8月末に政府監査が実施され、その結果、厳しい改善措置を取るよう指導を受けた。

 監査の主な指摘事項は8点で、①補助金への過度な依存と中央偏重②補助金の目的外使用③中央本部の主体事業不足④放漫な組織運営⑤補助金の執行について統制制度が不十分⑥機関紙「民団新聞」の過多な発行と無料直送⑦歴史資料館の事業効果⑧会計処理の不透明性、となっている。

 政府補助金を人件費や運営費に使用してはいけないと指導を受けたことも報告された。さらに民団が組織的に自立して同胞に密着した事業を行うように、今後5年間の推進計画書を来年2月末までに提出するよう求められたことが話された。

 また、民団新聞の発行経費の85%が政府補助金に頼っているとして、来年から直送体制を見直すなど、改善に向けた中期ロードマップを提出するよう求められたことも明らかになった。

 「地方本部が財政に苦慮しているときに、中央が(補助金使用の)不透明性を指摘されるとはどういうことなのか」「支部を統廃合した県本部もある。補助金分配の見直しも必要では」などの民団中央本部への批判も、参加者から出た。

 政府補助金は03年が8億1000万円、04年が7億5000万円、05年が8億4000万円、今年が72億ウォン(約9億円)になっている。

 韓国政府、そして在日同胞が納得する計画書が提出されるか、成り行きが注目される。

 会議ではまた、前執行部が朝鮮総連とともに5月17日に発表した共同声明について、「5・17事態に対する見解」と題した文章を発表し、「5・17声明は(北朝鮮や朝鮮総連への不信を強める)在日、そして日本社会の情勢を考慮せず、民団の自主性を放棄した過ち」だったとして、「民団は生活者団体として、日本人との共生に軸足を置いて信用回復に総力を挙げなければならない」と確認した。

■政府補助金への依存を脱し自立して透明性ある組織に■

 羅鍾一・駐日韓国大使は団長会議の冒頭、「同胞社会内部の健全な批判に耳を傾け、過去のような過度の本国政治志向と政府補助金への依存体質から脱し、自らの能力で自立して同胞社会の要求を積極的に受け入れる透明性のある組織を作るために努力しなければならない」と、異例の言及を行った。以下は発言要旨。

 本日の全国団長及び中央傘下団体長会議が、今後民団がこれまでの傷跡を早期に回復させ、在日同胞社会の和合と発展に向けた真の奉仕団体へと生まれ変わる契機となることを期待致します。

 今こそ民団が創立精神に立ち返り、新たな覚悟を持って同胞社会全体と一般団員の為に私心なく仕事をする奉仕団体に変わらなければならない時であります。そのためには同胞社会内部の健全な批判に耳を傾け、過去のような過度の本国政治志向と政府補助金への依存体質から脱し、自らの能力で自立して同胞社会の要求を積極的に受け入れる透明性のある組織を作るために努力しなければなりません。

 民団の活性化に向けて、本国政府の補助金だけでなく、団費や賛助金も含む民団のあらゆる予算を、透明性を持って執行して公開することを通じ、同胞社会の共感と信頼を確保することが何よりも重要な課題であります。

 また組織運営に関する健全な討論と批判、一部の未熟な点に対する謙虚な反省、決定事項には承服して和合する度量を通じて成熟した民主主義の力量を示したとき、民団組織は3~4世代まで維持・継承されるでしょうし、一般の同胞社会はもちろんのこと、日本社会からも尊重されると思います。