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2009/03/13

<在日社会>世界最高峰のグッゲンハイム美術館・伊丹潤氏(建築家・美術家)に出展依頼

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    グッゲンハイム美術館

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 在日韓国人2世の世界的建築家で、画家としても活躍する伊丹潤(本名・庾東龍/ユ・ドンヨン)さんが、ニューヨークのグッゲンハイム美術館に招待作家として招請され、新作を展示することになった。世界最高峰である同美術館に出展することは、大きな名誉とされている。

 グッゲンハイム美術館は、世界有数の建築家フランク・ロイド・ライトによって設計され、1959年に完成した。ニューヨーク近代美術館と並ぶ世界の最高峰の美術館で、ここに出展することは世界の美術家、建築家のあこがれと言われている。

 同館は開館50周年を記念して大規模な国際展を来年1月に開く予定であり、伊丹潤さんは招待作家(建築家としての)として作品を出展することになったものだ。出展作品は新作で、二次元のもの、大きさも作家ごとに指定されており、同美術館の有名な吹き抜けに展示される予定だ。

 伊丹さんはたたみ一畳から2畳ほどの大きさの建築物のドローイングを出品する予定で、すでに製作に取り掛かっている。

 伊丹さんは、「同美術館から招待されることは、作家として世界的に認められたことであり、受賞や勲章をもらうこと以上に誇らしい気持ちだ。今回の出展が韓国の文化に刺激を与えられればうれしい。また後輩たちへのメッセージにもなると確信している」と話す。

 韓国人でこれまで同美術館に出展したのは、ビデオアートの開拓者として世界的に知られるナム・ジュン・パイク(韓国名・白南準)だけで、伊丹さんで2人目になる。

 伊丹さんはジャズ喫茶の設計を出発点に、建築家としてスタート。レストラン、住宅設計なども手がけ、75年に発表した「墨の家」が話題となった。現在は日本のみならず、韓国、ベトナム、モンゴルなどからもオファーがあり、常に20近いプロジェクトを抱えている。韓国・済州道のポド(ぶどう)ホテル、北海道・苫小牧の石彩の教会など代表作品は多い。05年にはフランスの芸術文化勲章シュバリエを受章している。


  いたみ・じゅん(本名ユ・ドンヨン)。1937年東京生まれ。武蔵工業大学建築学科卒。05年仏芸術文化勲章シュバリエ受章。伊丹建築研究所主宰。著者多数。


 ■グッゲンハイム美術館
 
 グッゲンハイム美術館は、米国ニューヨーク市にある、近代美術専門の美術館。米国の鉱山王ソロモン・R・グッゲンハイムが集めたコレクションを元に1937年、財団として設立された。

 「かたつむりの殻」とも形容される螺旋構造の美術館は、中央部が巨大な吹き抜けになっている。

 見学者はエレベーターの最上部に上がり、螺旋状の通路の側面に掛けられた作品を見ながら階下へ降りる独特の仕組みになっており、ライトの代表的建築物である。