ここから本文です

2009/12/18

<在日社会>今年1年・在日コリアンが各界で活躍

  • 今年1年・在日コリアンが各界で活躍①

                     姜尚中・東大教授

  • 今年1年・在日コリアンが各界で活躍②

                     コウケンテツさん

  • 今年1年・在日コリアンが各界で活躍③

                     AHN MIKAさん

 今年も残りわずかとなった。政治学者の姜尚中・東京大学情報学環教授、料理研究家のコウケンテツさん、ファッションモデルのAHN MIKAさん、演出家の鄭義信さん、女優のソニンさん、ちすんさんなど、各界で在日コリアンが活躍した。

 在日2世の立場で国際政治、韓半島の統一問題について論じてきた政治学者の姜尚中8カン・サンジュン)・東京大学教授(59)。リーダーの役割について書いた最新刊『リーダーは半歩前を歩け』(集英社新書)が、政権交代の起きた日本の情勢とマッチして、評判になった。

 同書は今年8月に亡くなった金大中・元大統領と姜さんとの対談をもとに、「一歩進んで半歩下がりながら人を生かしていく」「リーダーとフォロワーの力学関係」などについて述べ、真のリーダー論を展開した。

 姜さんはまた、NHK日曜美術館の司会を担当するなど、国際政治だけでなく、社会・文化全般にわたって積極的に発言している。新たな分野に今後もチャレンジしながら、集大成となるべき著作をまとめていく。

 料理研究家のコウケンテツ(35、高賢哲)さんは大阪出身の在日2世。母が韓国料理研究家の李映林さんで、その影響で料理に関心を持って育った。プロテニス選手を目指したが、椎間板ヘルニアで挫折。闘病生活を経た後、母の料理スタジオで修行し、06年1月にコウケンテツの名前で料理研究家として独立。男が作る料理、また韓国料理ブームという時流に乗って知名度が高まり、今年一気にブレイクした。

 女性雑誌に連載を持ち、料理集を出す一方、テレビの料理番組、またNHKの食に関する紀行番組でレポーターも務めるなど、大忙しの1年となった。韓国料理の新たな魅力を今後も伝えていきたいとしている。

 在日3世でJリーグ川崎フロンターレのFW鄭大世選手(チョン・デセ、25)。北朝鮮国家代表チームのFWとして活躍、6月に見事44年ぶりとなるW杯出場を決め、喜びを爆発させた。12月の組み合わせ抽選会では、「ブラジル、ポルトガルと対戦する死の組に入りたい」と希望していたが、その通りの組み合わせとなった。特に66年大会で北が敗れたポルトガルに雪辱したいと願っている。チームの地元である川崎では、小学生向けサッカー教室で指導し人気者となっている。来年はJリーグ優勝と、W杯活躍を目指す。

 在日2世で人気ファッションモデルのAHN MIKA(安美佳)さんは、今年「韓国観光名誉広報大使」に選ばれた。韓日文化交流の懸け橋として、また両国のファッション、美容事情をそれぞれに伝える存在として、幅広く活動している。

 劇作家・演出家の鄭義信さん(チョン・ウィシン、52)は、今年から韓国で学生たちに演劇論を教え、韓日交流に尽くした。芝居では演出を担当した『鴨川ホルモー』などが人気だった。女優のソニンさんは、新国立劇場の『ヘンリー六世』にジャンル・ダルク役で出演、生き生きとした演技が評判に。同じく女優のちすんさんは、年末に舞台『パッチギ!』に出演し、好評を博している。