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2010/03/05

<在日社会>文化センターアリラン、東京・新宿に移転へ

  • 文化センターアリラン、東京・新宿に移転へ

    文化センターアリラン(川口市)

 埼玉県川口市で1992年から韓国・朝鮮の歴史研究、韓日文化研究を行ってきた「文化センター・アリラン」が、東京・新宿に移転することとなり、関係者は移転費用2000万円の寄付を募っている。

同センターは故・朴載日(パク・ジェイル)理事長が、「多くの人々に朝鮮民族の歴史と文化を紹介し、日本と韓国・朝鮮の相互理解を深めるとともに、地域文化の発展に寄与することを目的」として、設立された。

 87年、まず新宿歌舞伎町に「近現代史研究所準備室」を設置し、朝鮮近代史資料の収集と整理を行いながら、「文化センター・アリラン」の開館に向けた準備作業を始めた。89年8月に埼玉県川口市仲町で会館設立工事を開始し、91年4月に竣工した。そして92年11月に文化センター・アリランを開館した。2000年2には特定非営利活動法人文化センター・アリランとして、NPO法人化した。

 構想から完成まで8年を要し、朴さんは約2億5000万円の借金を背負いながら、会館設立に奔走した。韓国・朝鮮関係の書籍など約4万冊を持つ図書室を置き、研究会や講演会、文化公演などを開催して韓日交流、在日のアイデンティティー確認に役割を果たしてきた。

 しかし財政的には苦しく、朴載日理事長が亡くなった後は、存続が課題となっていた。そして、その遺志を受け継ぐべく、東京・新宿の高麗博物館が入っている「第二韓国広場ビル」の8階に移転することになった。過去18年間の蓄積をもとに、新たな文化研究活動の拠点、在日のためのネットワークの拠点、在日と日本人の新たな交流の場として活動していく。

 宋富子(ソン・プジャ)・副理事長は、「朴理事長の遺志を継承し、在日、日本人ともに活用し、また出会える場にしたい」と話す。募金は年末まで行っている。℡048・259・2381。