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2010/05/21

<在日社会>韓日中・文学プロジェクトが始動

  • 韓日中・文学プロジェクトが始動①

           小説を掲載する韓日中の文芸誌。
           韓国・子音と母音社の文学季刊誌「子音と母音」

  • 韓日中・文学プロジェクトが始動②

                日本・新潮社の月刊誌「新潮」

  • 韓日中・文学プロジェクトが始動③

           中国・上海文芸出版社の隔月刊誌「小説界」

 韓日中の三文芸誌による文学プロジェクト「文学アジア3×2×4」が、今月から始まった。3カ国からそれぞれ2人の作家の新作を同時に紹介する企画で、今後2年間で4回行われる。

 同プロジェクトに参加するのは、韓国が子音と母音社の文学季刊誌「子音と母音」、日本が新潮社の月刊誌「新潮」、中国が上海文芸出版社の隔月刊誌「小説界」。

 「子音と母音」「新潮」とも、著名な文芸誌で、「小説界」も中国3大文芸誌の一つとされる有力文芸誌だ。この間、3誌の編集長が話を進め、昨年、最終交流案が確定していた。

 3カ国の文芸誌が選出した各国2人(計6人)の作家が、共通の主題による小説を創作し、各誌が各言語で同月号に発表する形をとる。

 初回は6月号に掲載され、以後2年間、計4回にわたり毎回各国作家2人ずつ、計24人の短編を掲載する。

 テーマは都市・性・旅・喪失の4つで、第1回は「都市」編。韓国からはイ・スンウ著「ナイフ」とキム・エラン著「水の中のゴライアス」、日本からは島田雅彦著「死都東京」、柴崎友香著「ハルツームにわたしはいない」、中国からは蘇童著「香草営」、于暁威著「きょうの天気は」の6作品が掲載されている。

 キム・エランは20代半ばで韓国の有力文学賞を総なめにした女性作家で、今年30歳になるが、すでに多くのファンを獲得している。韓国社会の「階級」の問題、何も持たない20代を描いてきた。今回の作品も、撤去を迫られた古アパートに住む家族の悲哀を描き出している。

 イ・スンウは、「神と人間」「父親」をモチーフに書き続ける作家で、今回の「ナイフ」も、殺意にまで至る父と息子の葛藤を描き出している。

 韓日中という東アジアの新たな文学圏を作り出し、それぞれの文学作品への関心と交流を深めると同時に、共通の文学市場としても活性化させたいと、3誌の責任者は話している。