ここから本文です

2003/06/20

<総合>朝興銀行売却で労・政激突

  • sogo_030620.jpg

    朝興銀行ソウル本店には「強制合併を防ぎ、105年の民族銀行を必ず守り抜きます」と書かれたたれ幕がかかり、その前をゼネスト宣言後、示威行動をする組合員

 政府が大株主である朝興銀行の売却をめぐり労・政間の対立が激化、労組側は18日から無期限ストに突入した。政府は不法ストと規定、電算センターの占拠など過激・暴力行為が発生した場合、直ちに公権力を投入すると強い姿勢で臨んでいるが、上部団体の韓国労総は早期に連帯ストに打って出る動きを見せるなど予断が許せない状況だ。労使問題は盧武鉉政権の重大課題になっており、今回の朝興銀行紛争の行方に強い関心が集まっている。

 朝興銀行労組の要求は、段階的民営化と自力再建の保障で、政府の売却方針に強く反対してきた。ここには売却に伴うリストラの問題もある。18日のスト初日には全国の各支店から集まった労組員6000人が参加、ソウル南大門の本店前でゼネスト宣言を行ったが、許興辰・労組委員長は、「われわれに罪があるとすれば、政府の約束を信じて40%を超える同僚を整理し、3年にわたる賃金凍結に耐えて黙々と働いたことだ」と訴えた。

 この日のストで476店舗中、50店舗で営業を中断、営業を行った店舗でも窓口は麻痺状態だった。労組がストを予告した11日から18日まで朝興銀行で総額2兆1000億ウオンの預金が引き出された。韓国銀行は19日、流動性不足に陥ったとの要請を受け2兆ウォンを緊急支援。朝興銀行の個人顧客は1000万人に達し、取引企業も8000社を超すだけにストが長期化すれば影響は甚大だ。

 問題はスト参加者が多く、男子職員が集団剃髪してゼネストと書かれた赤い鉢巻を巻くなど戦闘的であることだ。16日には青瓦台(大統領府)に次長以下職員7224人の集団辞表を提出しようとした。警官隊に阻止されたが、経営責任者の銀行長でなく青瓦台に向けられた点が注目される。これは、洪錫柱行長を銀行のトップとして認めていなのに等しい。

 一方、上部団体の韓国労総が全面支援に乗り出しており、売却を撤回しなければゼネストを展開すると宣言している。ここには、民主労組との勢力争いもある。かつて、労総は組合員120万人をかかえる唯一の韓国のナショナルセンターだった。だが、より過激な民主労組が勢力を伸ばし、現在の勢力は韓国労総の85万人に対し68万人だ。韓国労総としては、勢力挽回を図る考えだけに強硬路線に傾いている。

 政府は労組のストにもかかわらず、当初予定通り新韓持ち株会社への売却を進める方針だ。金振杓・副総理兼財政経済部長官も談話文を発表して、「売却方針に変更はない。不法ストの主導者は刑事措置し、銀行に損失が発生した場合、民事措置も講じる」と明らかにしている。

 政府関係部署間では、雇用承継などで労組と対話の必要性は認めているが、売却そのものについて再考の余地はなく、法と原則に基づいて厳しく対処することで一致している。

 盧武鉉大統領は19日の青瓦台会議で「最近の一部労働運動は道徳性と責任性を失っている」と指摘、堂々と対応するよう指示した。

 外国人投資家の間からは、「もし売却方針が変更されたり先送りされれば韓国から投資を引き揚げる」という声も聞かれる。