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2003/04/11

<総合>イラク戦後復旧で戦略的受注へ

 バクダッドが陥落、フセイン体制が崩壊することでイラク戦争は事実上終わった。すでに戦後に向け動き出しているが、破壊された建物や油井、道路などの復旧を急がなければならない。米英企業が有利な立場にあるが、中東での施工実績に定評のある韓国企業も戦後特需に備え本格的に活動を開始した。建設、油田開発関連だけでなく、通信、家電、自動車など広範囲に需要増大が予想されるだけに、米英との提携に狙いを定めた戦略的な動きをしている。

 イラク戦後復旧事業規模は、3000億㌦とも4000億㌦ともいわれすでに水面下で各国のし烈な受注合戦が始まっているが、主導権を握るのは米英の企業となる可能性が高い。だが、韓国企業は、中東地域での受注実績を生かし、米英企業とパートナー締結やコンソーシアムを組んだりして、資材調達や施工など下請け形式で進出することも予想される。

 現在、韓国企業は中東で76億㌦相当の工事を施工中であり、中東でのコリアンパワーの実力は群を抜いている。この地域での最大の競争相手は中国だが、今回のイラクでは派兵を決めた韓国が有利な地位を占めると見られている。

 最も大きな期待がかかっているのは建設業。現代建設は過去、イラクで50億㌦相当の施工実績を持ち、今回も施設の改補修工事受注に積極的に乗り出しており、米国企業と最近パートナー関係を結び、復旧事業進出の準備を終えたとも伝えられた。

 原油生産施設や精油施設建設にノウハウをもつSK建設は、「イラクの場合、この間の経済制裁で油田開発に参加できなかったが、今回は破壊された油井復旧事業や油田開発にも参加できる」と期待をかけ、国内外の企業とコンソーシアムを組むための活動を展開している。LG建設は、米英の提携先と接触を始めており、特に精油工場建設に強いので、この部門での再建事業に積極的に乗り出した。大宇建設も石油化学・ガスプラント復旧工事に参加するため米英企業との接触を開始。

 情報通信分野でも復旧事業に備えている。官民合同の市場開拓団を派遣する一方、政府・企業・金融・交通分野の情報システム構築と有・無線通信網の構築分野で受注を模索している。電子業界は白物家電を中心に特需があるとみて、中東地域マーケティング戦略を練り直すなど活発に動き出した。イラクは3000万人の人口があり、潜在的な市場規模が大きいため、将来的にも有望と見ている。

 サムスン電子は現地富裕層をターゲットに、携帯電話やホームシアターなどの高級マーケティング戦略を展開中だ。同社関係者によると、戦争が始まっても周辺地域の駐在員を撤収させず、いつでも現地バイヤーとの商談や接触が可能なように準備万端な状態にしているという。LG電子はイラクの携帯電話需要は戦後1年以内に年間200万台に増えると予想、輸出増大に力を入れている。

 国連開発計画(UNDP)によると、昨年9月現在でイラクの発電可能量は4400メガワットで、需要量の6200メガワットを大きく下回っており、戦後復旧でこの分野も有力視されている。昨年9月から中東向け輸出を中断したGM大宇自動車は、今年7月からの輸出再開に向けて、GMとともに中東販売網構築計画樹立に着手した。

 韓国は70年代に中東でも建設で年間100億㌦の工事を受注、莫大なオイルマネーを還流した。土木工事をはじめ港湾建設、製油所や淡水化事業などさまざまなプラント工事を受注、施工して中東の近代化に貢献した。すでに韓国企業の中東ビジネスは現地で有名であり、今回のイラク戦後復旧でも韓国企業が大きな役割を果たすことが期待される。