ここから本文です

2003/04/04

<総合>経済改革を持続 透明で公正な市場つくる

  • sogo_030404.jpg

    就任後初めて施政演説を行う盧武鉉大統領

 盧武鉉大統領は2日、国会で就任後初の施政演説を行い、この間国論を分裂させてきたイラク戦争への派兵決定は「北朝鮮の核開発問題を平和的に解決するため国益を考慮した戦略的選択だった」と背景説明し、理解を訴えた。経済問題については「改革はまだ不十分」として「透明で公正な市場をつくるため改革を持続する」と表明した。さらに、政治、行政、社会、言論の各分野にわたって改革を推し進めると言明した。

 盧武鉉大統領の施政演説は午前10時過ぎから40余分間にわたって行われた。新大統領初の施政演説とあって、傍聴席に孫吉丞・全国経済人連合会会長、朴容晟・大韓商工会議所会長、金昌星・経営者総協会会長、金榮洙・中小企業中央会会長ら経済界トップをはじめ、トマス・ハバード駐韓米国大使ら外交使節も大挙参席する関心をみせた。

 ◆「派兵決定」

 今回の施政演説で最も注目されたのはイラク戦への非戦闘員派兵同意案の国会承認を取り付けるための説得だった。演説の冒頭から約10分間を割いて、「韓半島で戦争を防ぐことがわれわれの死活のかかった最大の国益だと判断、名分よりは現実を選択した」と派兵決定に至る胸のうちを切々と訴え、議員たちも神妙に傾聴していた。

 盧武鉉大統領はこの中で、「名分ない戦争」「派兵すれば米国の対北攻撃反対の名分がなくなる」という世論に対して、自らも過去において90年の3党合党反対、大統領選挙での鄭夢準候補が要求した共同政府を拒否した例をあげ、名分の重要性に共感しながらも、「しかし、いまは名分ではなく現実の力が国際政治を左右する」と指摘、「戦略的選択」が不可避だったことを訴えた。

 その上で「名分を掲げて韓米関係を葛藤に追い込むよりは、米国が困っている時に助け韓米関係を強固にすることが、北朝鮮の核問題を平和的に解決するのに何より重要だ」と強調。また、「外国人投資家は戦争の危険よりも韓米関係に葛藤が生じることを不安視している」と指摘、派兵がこのような不安解消に寄与するだろうと語った。 

 ◆「経済改革」

 経済問題については、「原則と一貫性が重要であり、改革を継続しなければない」と力説した。

 特に、SKグローバル事件を引き合いに、「経済改革はまだ十分でない。粉飾会計防止など透明性確保のための改革と証券関連集団訴訟制の早期導入、国際基準にあった企業会計制度改善、支配構造改善、社外理事制の強化、不公正取引慣行や不当内部取引の是正を改革課題に提示して、参与政府は持続的な改革を推し進め、透明で公正な市場をつくっていく」と改めて強調した。この改革のため3年程度の計画を立てるが、改革の強度は「普通の企業が誠実に努力すれば持ちこたえるものにする」と約束した。

 先行き不安の景気問題については、過去の失敗の経験を引き合いに「短期的な浮揚策はとらない」が、不動産や金融不安に対して防御対策をすでに講じていると明らかにした。また、経済の持続的な発展のためには、投資の持続・市場拡大・市場での競争力確保の商品技術力強化が重要だとして、技術革新、人材養成、産学官の連携体制強化などを再確認した。

 ◆「社会改革」

 最大の課題は不振と対決の労使関係であり、盧武鉉大統領は「この問題の快活のためには労使間の信頼が大事であり、そのための第1の条件は経営の透明性であり、公権力で問題を解決する前に積極的に仲裁・調停していく」と明らかにした。また、深刻な受験競争にある教育問題について、「どの大学を出ても成功するように我が社会を改革していく」と強調した。

 ◆「行政改革」

 「健康な社会になるためには、まず政府と政治が改革されなければならない。まず自ら率先する」--盧武鉉大統領は「国家情報院、検察・警察、国税庁など権力機関をこれ以上、権力の道具として利用しない。これ以上政治査察、標的捜査、野党弾圧のための税務査察はしない。監査院の会計監査機能を国会に委譲する。小さい政府ではなく、効率的な政府をつくる。既得権に安住する公務員は落伍するだろう」と明らかにした。

 ◆「政治改革」

 選挙制度の改革が政治改革の核心となった。盧武鉉大統領は、「来年の総選挙から特定政党が特定地域で3分の2以上の議席を独占することがないように与野党合意で選挙法を改正してほしい。これが現実化すれば過半数の議席を占めた政党または政治連合に内閣の構成権限を委譲する」と異例の提案をした。

 ◆「言論改革」

 言論問題について盧武鉉大統領は強い姿勢で臨んだ。「言論は牽制を受けない権力だ。牽制を受けない権力は危険であり、いくつかの言論社が市場を独寡占している状況ではなおさらそうだ。いくつかの族閥言論は金大中政権を迫害し、私も不当な攻撃を受けてきた。これ以上、異なる考えの人を打倒の対象にしてはならない」と警告した。