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2004/12/10

<総合>本格的な南北経協・開城工団で15日生産開始

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    韓国金融機関初の北朝鮮進出となるウリ銀行の開城工団支店開店式

 本格的な南北経済協力事業として進められている北朝鮮の開城工業団地のモデル団地で15日、入居企業により初の製品が生産される。韓国側からの電力供給ははすでに始まっており、工団→開城電話局→韓国側を結ぶ通信料金ををめぐる南北当局間の交渉も最終局面に入っている。7日にはウリ銀行の開城工団支店がオープン、金融機能も備わった。2012年までに6600万平方㍍の巨大な工業団地を建設する計画は具体的に動き始めたようだ。

 開城工団開発は3段階で進められる。第1段開は2007年まで330万平方㍍を造成、8万4000人の雇用を見込んでいる。そのモデル団地の建設が来年5月完成を目標に進められおり、入居15社のうち7社で工場建設を進行中だ。15日に初の製品を生産するのはすでに工場建設を終えた厨房メーカーのリビングアート。衣類メーカー、半導体部品メーカーなども生産準備にとりかかっている。

 こうした中、韓国の市中銀行として初めてウリ銀行が工団内に支店をオープン。7日の開店式には同行の黄永基行長、現代峨山の金潤圭社長はじめ政府関係者ら140人が参加した。同支店の資本金は500万㌦。与信・受信業務ほか、信用状、外為業務など韓国内で取り扱うすべての金融サービスを入居企業に提供する予定だ。金キフン支店長は「南北経済協力の礎石になるよう頑張る」と語った。

 工団内では基本的に米ドルが流通されるが、開城工団の魅力について、入居企業はまず月57・5㌦の安い人件費をあげている。中国の主要都市勤労者賃金と比べても安い。坪当たり14万ウオンの分譲価格も破格的な安さだ。また、海外投資で問題になる言語疎通もない。ソウルからわずか1時間の距離にあり、物流面で将来的には南北を結ぶ産業集積地として発展する可能性もあるという期待の声もあった。インフラ面では、北朝鮮の厳しい電力事情を考慮、韓国電力がモデル団地に送電線を架設、1万5000キロワットの電力を供給、2007年には10万キロワットに拡大することで北側と合意済みだ。また、北朝鮮での海外通話料金は1分1㌦30セントだが、工団から韓国にかける場合には1㌦50セント以下にする最終交渉が16日にKTと北側の中央特区開発指導総局との間で行われる。

 韓国政府はこの開城工団に大きな期待を抱いており、初製品が生産さえる15日に鄭東泳・統一部長官雄北訪問が勧められている。李鳳朝・統一部次官は8日ソウルの韓国貿易協会で開かれた開城工団シンポで、「来年上半期に第1段階事業用地を分譲し、第2第3段階開発計画を樹立する。何よりも企業が安心して投資し、生産活動に専念できる環境をつくるよう努力する」と語り、「開城工団のような南北経済協力は核問題の解決にも助けになるだろう」と強調した。
 
 政府は、入居企業を来年200社に増やし、2007年までに工団規模を昌原工団に匹敵する2640万平方メートルに拡大する計画だ。工団が完成する2012年には6億㌦の収入が見込めるだけに、北朝鮮にとっても工団にかける期待は大きい。