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2004/08/20

<総合>ポスコ・世界初の新工法設備着工

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    FINEX工法設備の着工式。李亀沢・ポスコ会長(中央)と姜昌五社長(左)、オーストリアのフェストアルピネ社のカール・クルーパー副社長が握手

 ポスコは、次世代製鉄技術のFINEX(ファイネクス)工法の開発に世界で初めて成功、同工法を用いた設備の建設に着手した。浦項製鉄所北側の第3投棄場跡で17日、年産150万トン規模のFINEX設備着工式が、李亀沢会長、姜昌五社長ら300人が参加して行われた。建設費と原料費を大幅節減でき、廃棄物が従来の10%以下に抑えられる環境親和型の設備であり、世界鉄鋼史に新たな歴史をつくることになった。
 
 FINEX工法は、ポスコが92年から4200億ウオンを投じて独自に開発したもので、昨年6月からモデルプラントを稼働してきた。この新工法は、過去500年間、世界の鉄鋼産業の主流となっていた溶鉱炉(高炉)工法を代替する夢の技術であり、建設費は溶鉱炉に比べ8%、製造原価も17%節減できる。また、粉塵などの汚染物質も硫黄酸化物で従来の8%以下、窒素酸化物は4%以下に減らすことができる。

 李会長は、「日本やオーストラリアなど世界の鉄鋼メーカーが、次世代設備の開発に拍車をかけているが、ポスコが最も早く商用化に成功した。今後2、3年後には溶鉱炉を作るメーカーはいなくなるだろう」と強調した。

 90年代から日本(DIOS工法)、オーストラリア(HISMELT工法)、欧州(CCF工法)、ブラジル(TECNORED工法)などが高炉に代わる新しい製鉄工法の開発に取り組んでいるが、新工法の商用化にこぎつけた企業はポスコが初めてだ。このFINEX工法の実用化で、ポスコの競争力が大幅に高まると期待されている。

 世界の鉄鋼メーカーは、生き残りをかけ、国境を超えて買収・合併(M&A)による大型化を推進している。ポスコは、FINEXの導入で、世界の鉄鋼メーカーに対抗し、国際競争力を高めていく戦略だ。ポスコは今回のFINEX1号機への投資を皮切りに、2008年までに総額4兆4000億ウオンを投資し、粗鋼生産能力を今年の2900万㌧から3200万㌧に拡大する計画だ。また2010年をめどに、浦項製鉄所第1、第2高炉と鋳鋼設備が老朽化した段階で、FINEX設備に代替していく。

 さらに、今後10年以内に中国、インド、東南アジア地域にFINEX工法を適用した1000万㌧規模の生産基地を建設する考えだ。これら一連の設備が完成すれば、ポスコの粗鋼生産量は4200万㌧に達し、世界有数の鉄鋼メーカーに躍進することになった。

◆ FINEX工法とは ◆

 FINEX工法は、既存の溶鉱炉工法とは違い、自然状態の粉末状の鉄鉱石と一般炭を溶融炉に直接投入するもので、工程を大幅に短縮できる。溶鉱炉工法は、原料と燃料を比較的大きな固まりにして高炉に投入する。