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2005/11/18

<総合>21カ国首脳続々入国・APEC釜山会議佳境に

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            新ラウンド推進を確認したAPEC閣僚会議

 世界のGDP(国内総生産)の57%、貿易の46%を占める地域の21カ国・地域の首脳が集まるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議が18、19日の2日間釜山で開かれ、域内貿易・投資増進目標などを提示した釜山ロードマップ(行程表)を採択する。首脳会議ではまた、WTO(世界貿易機関)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)に関する特別声明を発表、来年末までに成功裏に終結させるため、ドーハ・ラウンド進展を阻んでいる農業輸出補助金について、すべてのWT0加盟先進国に2010年までに撤廃するよう求めることになる。世界経済に大きな影響力を持つAPECが、WTO重視の姿勢を鮮明にすることの意義は大きい。

 釜山ロードマップは、域内の貿易・投資自由化に向けて1994年にインドネシアのボゴールで定めた目標(先進国は2010年まで、途上国は2020年まで自由化)の中間評価を踏まえ、目標達成のため2010年までの行動計画を策定している。

 また、可能な限り多くの分野でFTA(自由貿易協定)のモデル措置を策定し、域内で結ばれるFTAの同質化を図ることも盛り込んでいる。

 一方、ドーハ・ラウンド推進については、議長の盧武鉉大統領の強い要望もあった。首脳会議に先立って15、16日開かれた外相・通商相によるAPEC閣僚会議の共同声明でも、12月に香港で開かれるWTO閣僚会議の成功支援を謳っている。特に、農業輸出補助金の撤廃については、事務方が作成した首脳会議の特別声明文案で明記しており、金鉉宗・通商交渉本部長は「農業など主要交渉分野で果敢かつ均衡ある内容だ」と説明した。

 首脳会議はまた、北朝鮮に対して、核問題平和解決の特別メッセージを発表する予定だ。

 一方、閣僚会議では、アジア地域で広がっている鳥インフルエンザなど感染症の脅威をなくすため、発生情報の開示やワクチンの共同開発で協力することにした。

 APEC会議に合わせ、17日からCEO(最高経営責任者)サミットが800人が参加して、「企業家精神」をテーマに3日間の予定で始まった。米国のナンバーワン女性経営者に選ばれた電子取引のeBay社のメグ・ヒートマン社長も参加、注目を引いている。

 また、会員21カ国から3人ずつの企業経営者で構成されたAPEC企業諮問会議が、「貿易自由化の不振が企業活動の制約になっている」との考えをまとめ、首脳に直接建議する。