ここから本文です

2008/11/21

<総合>新世界経済秩序へ権力移動始まる

  • 新世界経済秩序へ権力移動始まる

    G20首脳会談に臨む李明博大統領(左から2人目)。左隣は姜万洙・企画財務部長官

 欧米日の先進7カ国(G7)と韓中など新興12カ国+EU(欧州連合)代表らが参加したG20首脳会談が15日、米ワシントンで開かれ、①金融機関に対する規制・監督を強化する金融市場改革②金融・財政・金融政策を総動員した景気刺激策③今後1年間は保護貿易主義措置を取らない――などを盛った首脳宣言を採択した。米国発の金融危機を共同で立ち向かうことを宣言したもので、世界の主要国が共通認識を形成した意味は大きい。特に、今回の会議で鮮明になったのは、新興国の発言力が強まったことで、長い間G7が支配していた世界経済秩序の権力移動が始まったといえそうだ。

 G20首脳会談を見つめる韓国の視線には、輝きすら見られた。言論界は「世界経済の中心が先進国から新興国に移っていくことを克明にみせつけた」「G7からG20が世界の政治・経済の秩序を左右する契機になった」「IMF、世界銀行など国際機関での発言力拡大が約束された」と報じ、「世界経済多極化の一歩、G7からG20時代に」の見出しが躍った。

 第2次世界大戦以降、先進国が左右してきた国際秩序づくりに初めて新興国が参加すること自体が大きな歴史の転換を意味するが、世界経済の重心が移動しているとの指摘は多く聞かれる。サイモン・ジョンソン・米MIT教授は、「G7がG20に変わったという点以外に合意した内容は、会議を開かなくても得られるものだ」とまで語っている。

 韓国の専門家たちは、「世界経済をリードしてきたG7に代表される先進諸国は、今回の金融危機で後退を余儀なくされ、変わって新興国が先進国と肩を並べる地位を占めることになった意味は大きい。1945年のブレトンウッズ体制以来60年以上続いてきた世界経済秩序を根底から変えるものである」と指摘している。今回のG20首脳会議が、「歴史的」と評価されているゆえんだろう。

 G20への移行は必然的ともいえる。世界のGDP(国内総生産)は昨年基準で54兆㌦に達し、G20で84%を占めるが、G7のウエートは90年の66%から55・5%へと10ポイントほど低下している。代わって新興国・途上国のウェートが高まっているわけだが、今回参加した新興20カ国で20%ほどを占める。

 世界第13位の経済規模を誇る韓国のGDPは1兆㌦で、ウェートは2%だが、今回韓国は来年4月の第2回G20首脳会議へ向けて英国、ブラジルとともに共同議長国に選ばれ、新興国の声を積極的に反映する役割を担うことになり、責任も重大だ。

 共同議長3カ国は、次回首脳会談に報告する「金融市場改革」の細部実践策作成のため、早ければ来週から協議を開始、IMFや民間専門家らも参加する作業班を構成する予定だ。「韓国にとって、複雑な先進金融構造を熟知する機会にもなる」と見る向きもある。

 李明博大統領は、「新興国の国際社会での発言力が高まり、地位も引き上がった。特に、1世紀に一度あるかないかの重要な国際舞台で韓国が中心的な役割を果たすことの意味は大きい」と強調した。韓国の存在感が高くなった。

 すべては、今回の金融危機でG7だけの対処だけでは限界があることがはっきりしたことから始まった。例えば、G7に依存しているIMF出資金でも、外貨保有高が多い中国など新興国の支援が必要になっている。

 しかし、世界経済の重心移動は始まったが、まだその一歩にすぎず、なお世界のGDPの4分の1を占める米国の影響力は強く、覇権をただちに譲り渡すことは考えられない。今後IMF改革などで攻防が予想される。

 来年は主要先進国が軒並みマイナス成長に陥ると予想されており、世界経済は大きく後退することが避けられない。いまは世界を突如襲った米国発の金融危機で世界全体が先の見えない霧に覆われているような状態だが、G20が先頭に立って克服するしかない。細部計画の大役を担う韓国は、21世紀の新たな世界経済秩序形成へ向けて与えられたチャンスを生かすためにも、国内の経済体質の強化が欠かせない。