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2010/03/26

<総合>今年目標500億㌦・プラント輸出 中東で急増

  • 今年目標500億㌦・プラント輸出 中東で急増

    中東カタールでのプラント建設現場

 韓国企業が中東市場でプラント(産業設備)輸出を増大させている。中東の湾岸協力会議所属の6カ国の建設市場は今年だけで5500億ドルが見込まれているが、韓国企業はサウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、オマーンなどから相次いで大型プラント受注に成功、中東地域が再び黄金市場として浮上している。昨年のプラント輸出実績は史上最大の463億㌦を記録したが、その大半が中東地域からの受注で占められ、現地では韓国人エンジニアらの働く姿が目立つ。知識経済部は、プラント輸出拡大のため2012年まで海外受注700億㌦、世界シェア8%を目標に掲げ支援を強化しているが、今年の目標500億㌦達成いかんも湾岸6カ国からの受注増大が決め手になりそうだ。

 世界金融危機後、中東産油国は製油プラントの新設や増設を急いでいる。今後の原油枯渇に備え石油を販売するより、付加価値の高い製油製品を生産する方式に転じたためだ。最近もサウジ国営石油会社のアラムコと米国系のコノコフィリップスが共同で66億㌦以上と予想されるヤンブ産業団地の製油プラント工事入札を実施した。今月末に結果が発表されるが、韓国企業が上位圏に入っているとされ、受注が期待されている。

 韓国の建設会社は昨年、アブダビだけで約100億㌦の工事の受注を記録した。特にGS建設はこのうちの半分近い45億㌦を受注し、中東で存在感を高めている。アブダビ近郊のルワイス工業団地では、GS建設と石油化学プラントを建設するサムスンエンジニアリングに加え、SK建設、大宇などが新たにプラント建設を開始する。昨年、製油工場拡大プラントなど多くを韓国企業が受注したからだ。韓国企業は、製油や石油化学部門の建設経験が豊富である上、割合安価で品質の高い工事を行っているとの評価が高い。

 特に2004年から湾岸地域への進出を強めいているGS建設はこのルワイス工業団地で、08年から、グリーンディーゼルの生産プロジェクトを実施し、現在60%以上の工事を終えている。グリーンディーゼルとは、自動車公害の主犯である硫黄成分が10ppm以下のエコディーゼル。EU(欧州連合)が12年から輸入ディーゼルの成分を規制することに備えたプラント工事だ。

 GS建設はこの間、中東プラント市場で67億5000万㌦の受注額を記録。特にUEAやオマーンで大型工事が集中している。オマーンのソハール工業団地では、同社が建設したアロマティックス・プラント工場が稼動している。この工場は、原油成分の一つであるナフサから家電製品や自動車の内外装材、ナイロン繊維などの原料となるベンゼンとパラキシレンを抽出している。生産量は年間102万㌧に上る。

 ソハール工業団地には、110億㌦が投入され、製油工場や超大型淡水施設、発電所や肥料工場などが建設される予定だ。海外建設協会によると、オマーンに進出した韓国企業はこれまで、計41億㌦分の工事を受注した。ここの市場は韓国企業のほぼ独占状態だ。

 海外建設協会によると、昨年の韓国建設企業の受注額のうち中東地域が73%を占める最大市場となっている。中東での韓国企業の存在感は年々高まっているが、建設会社は受注の急増を受け、工事費の調達に厳しさもあり、政府に対して金融支援を求めている。


◆プラント輸出とは

 生産設備や大型機械の輸出を指すが、現地での据え付けから稼動までに必要な要素を一括した工場ごとの輸出をも含めてプラント輸出という。設備の設計から施工・運転までを契約するターン・キー方式、設備のみでなく土建工事や付帯設備もすべて契約するフル・ターン・キー方式などがある。また、機種としては、発電プラント、通信プラント、海水淡水化プラント、石油精製プラント、繊維プラント、肥料プラント、製鉄プラントなど種々ある。