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2011/04/29

<総合>第1四半期GDP・明暗分けた4.2%成長

  • 第1四半期GDP・明暗分けた4.2%成長

    半導体製造ライン。第1四半期も製造業が全体成長を牽引した

 韓国銀行は27日、第1四半期(1―3月)の実質GDP(国内総生産)が前年同期比4・2%、前期比では1・4%それぞれ増加したと発表した。電子機器や自動車などの輸出好調を受け、前年同期比9・9%(前期比3・2%)の高い伸びをみせた製造業が全体の成長を牽引した。だが、不動産不況を反映した建設投資と、口蹄疫などの影響を受けた農林漁業はマイナス成長に陥った。
 
 GDP成長率は、昨年に続き今年も輸出を軸に製造業が牽引する形が続いている。第1四半期の輸出は、前年同期比16・8%の高い伸びを示した。前期比でも3・3%の増加。製造業は電機・電子機器、鉄鋼、自動車をはじめ主な業種で好調を示し、前年同期比で二桁に近い高成長を記録した。

 民間消費は前年同期比3・0%増加し、前期比0・5%の小幅増。飲食など消費性支出は不振だったが、自動車など耐久消費財の消費が増え、プラスを維持した。設備投資は前年同期比で12・0%増えたが、前期比では0・8%のマイナス。半導体製造用の機械投資などの減少が響いた。

 一方、建設投資は建物、土木などすべての部門でマイナスとなり前期比6・7%の減少。通貨危機に見舞われた98年第1四半期(9・1%減)以来の大幅落ち込みだ。政府が相次ぎ打ち出した不動産活性化対策がみるべき効果をあげてないことを示した。

 農林漁業部門も、史上最大の被害を出した口蹄疫のため畜産業が大打撃を受け、前年同期比9・2%の大幅減となった。前期比も5・1%減少。

 サービス業は、前年同期比2・8%(前期比1・3%)増加した。卸・小売業と金融保険業は全体的に好調だったが、昨冬の記録的な寒波で余暇活動が委縮し、文化・娯楽分野は前期比マイナス4%に落ち込んだ。

 一方、国民1人当たりのGDI(国内総所得)は前年同期比で1・6%増加したが、前期比ではマイナス0・6%に落ち込んだ。原油価格の急騰に伴う交易条件の悪化を反映した。前四半期比でマイナスとなったのは世界金融危機直後の第4四半期(10~12月)後初めて。成長はしたが、実質購買力は落ちており、消費者の体感景気が冷え込んでいることを示した。

 交易条件の悪化について韓銀は、「第1四半期に韓国が輸入した原油価格が21・1%、非鉄金属が14・4%、原資材も軒並み上昇した半面、韓国の主要輸出品である半導体価格は10・3%、LCDなどディスプレーも12・2%下落した」と説明。ただし、半導体などの価格はいまが底であり、今後回復が期待できるとみている。

 韓銀関係者は、「輸出主導の経済成長が持続しているが、建設投資は98年の通貨危機以降、最悪の状態にある」と警鐘を鳴らした。