ここから本文です

2011/02/04

<総合>エジプト情勢緊迫・進出韓国企業も操業中断

  • エジプト情勢緊迫・進出韓国企業も操業中断

 エジプト情勢の緊迫化に伴い、韓国経済への影響も懸念されている。1日の100万人デモでムバラク政権は窮地に陥っているが、先行きは不透明だ。中東の盟主であるエジプトの混乱を受け、北海原油先物相場が1バレル=100㌦を突破し、各国の株価が急落するなど経済的影響が広がりを見せ始めた。韓国政府も、原油急騰に備えて緊急石油需給対策を講じるなど対応に追われている。エジプトにはLG電子など進出企業も多いが、ほとんどが操業中断状態だ。1600にのぼる中小輸出企業は「輸出代金回収が心配だ」と警戒している。

 エジプトのGDP(国内総生産)は昨年2170億㌦で、中東国家の中で第4位の規模にすぎない。だが、石油輸送が多いスエズ運河を持っており、騒乱事態が長期化ないし近隣国に波及すれば、国際原油価格が急騰するのは必至だ。

 このため知識経済部は1日、国内の石油需給状況を点検するための非常対策会議を開催。エジプトでのデモ発生後の国際原油価格と石油製品価格の動向、石油需給に支障が出る可能性などについて協議した。

 協議結果、韓国はエジプトと取引する石油量は多くないので、国内の石油需給には問題がないが、石油業界には価格引き上げを自制するよう要請し、原油価格のモニタリングを強化する方針を決めた。また、エジプトのデモが長期化し、石油需給に支障が生じた場合に備え、政府の備蓄石油8500万バレルを放出するなどの非常対策も講じた。

 エジプトは極細糸生産も可能な世界一良質の綿花生産国であり、ニューヨークの国際穀物先物市場で国際原綿相場は1ポンド=1・69㌦を記録、140年以来の高値をつけている。この点も各国が注目している。

 韓国とエジプトの貿易高は昨年31億㌦で、それほど大きな額ではないが、未市場開拓に力を入れる企業にとって、今回の事態は「エジプトショック」というべき衝撃だ。

 韓国企業は、カイロにあるLG電子のテレビ生産工場の稼働を止めたのをはじめサムスン電子、現代自動車、ポスコ、OCIなど34の韓国進出企業のほとんどが営業を放棄、職員と家族の避難に忙しい。

 07年に三井物産と共同でハイドロクラッカー(水素化分解重油精製設備)を受注したGS建設も頭を痛めている。GS建設関係者は「やっと基本設計を終えたが、現場作業に入れるのか分からない」としている。

 エジプトに輸出している中小企業からは、「官公庁がみんな門を閉ざしており、通関業務が中断されている。インターネットも遮断されており、現地バイヤーとメールもできない。事態が長期化すれば輸出代金も回収できるか不安だ」との声が聞かれる。

 専門家たちは、当面の被害よりも、エジプトがアフリカ北東部の戦略拠点であることに注目している。大企業はアフリカの成長可能性を念頭において、エジプトに相次いで拠点を置いている。現代自動車の場合、これまではドバイを中東とアフリカの拠点にしていたが、07年末にカイロに地域指令塔を移した。ポスコは昨年末にカイロに事務所を開設したのも同様の理由からだ。外国人投資誘致促進のため昨年末に行政サービスを改善、投資を希望する外国企業に対しては1カ所ですべての手続きを済ませるワンストップサービスを実施している。今後のエジプトの情勢がどう動くのか経済界も目を離せない。