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2016/09/16

<オピニオン>韓国企業と日本企業 第44回 ビジネス教養のための韓半島問題①                                                    多摩大学アクティブラーニング支援センター長 金 美徳 教授

  • 多摩大学アクティブラーニング支援センター長 金 美徳 教授

    キム・ミトク 多摩大学経営情報学部および同大学院ビジネススクール (MBA)教授。1962年兵庫県生まれ。早稲田大学院国際経営学修士・国際関係学博士課程修了。三井物産戦略研究所を経て現職。

◆世界の潮流や変化見極める感性を◆

 前号までは、アジア・グローバル人材育成のための北朝鮮に関する教養教育内容について経験知の観点から分析し、紹介した。今号からは、北朝鮮だけでなく、韓国を含めた韓半島問題とその解決策というもう少し広い観点からビジネス教養について考察する。韓半島問題とその解決策を考えた場合、以下のような問題意識が提起される。

 (1)日本は、隣国の北朝鮮とどう向き合うのか、またはどう付き合うのか。①北朝鮮は、好きか、嫌いか、どうでもいいか。

 ②金正恩体制は、安定しているのか、不安定なのか。叔父の張成沢氏をはじめ約150名の大臣・幹部を処刑したが、これで権力を握ったと見るのか。逆にさらに処刑者や脱北者を増やし、不安定になると見るのか。安定している、または不安定と判断した場合、日本はどのような外交や民間活動支援を行うのか。

 ③北朝鮮は、このまま維持できるのか、または崩壊するのか。崩壊したらどうなるのか。日本への影響は、どうなるのか。

 例えば難民が100万人押し寄せてくる。その中に元日本人が2000名いる。また、その日本人の血が流れている家族まで含めると約1万人の元日本人がいる場合、どうするのか。北朝鮮人難民をどれだけ受け入れるのか。また、元日本人とその家族は、全員受け入れられるのか。

 因みに日本は、すでに約200人の脱北者(北朝鮮人および元日本人)を受け入れている。

 ④日朝国交正常化は、実現するのか。小泉元首相と金正日総書記が2002年9月17日に平壌で合意した日朝平壌宣言では、「日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなる」との共通の認識を確認した。

 また、「この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとした」としている。因みに国交正常化の場合、日本が支払う経済協力金は1兆円か、2兆円かなどの議論も浮上している。

 (2)日本は、隣国の韓国とどう向き合うのか、またはどう付き合うのか。

 ①韓国は、好きか、嫌いか、どうでもいいか。もし日本国民の多くが、隣国の北朝鮮や韓国に対して「どうでもいい」と思っているとしたら世界は日本のことをどう見るであろうか。

 ②領土問題(竹島・独島)、従軍慰安婦、歴史教科書、歴史教科書、靖国参拝、安重根の評価、日本海・東海の呼称、元徴用工の個人補償などの日韓問題をどのように解決するのか。③15年12月28日の日韓合意(従軍慰安婦問題の解決)は、賛成か、反対か。

 (3)韓半島は、統一するのか。①統一するならばいつするのか。3年後か、それとも20年後なのか。②どのような形式で統一するのか。韓国主導か、対等合併か、北朝鮮崩壊によりなし崩し的に韓国が吸収するのか。

 ③この韓半島の統一は、日本はどのように考えるのか。韓半島の統一は、賛成か、反対か。賛成の理由は、統一すれば日本周辺、または北東アジアが平和になると考えるのか。反対の理由は、統一すれば人口8000万人規模のドイツ並みの大国が誕生するから脅威と考えるのか。

 (4)日本は、北朝鮮問題・韓日問題・南北問題の解決を望んでいるのか、または問題解決のために支援・協力したいと思っているのか。北朝鮮問題が解決すると日朝国交正常化し、次は南北統一する。南北統一・韓半島が統一すればアジアが平和になり繁栄する、日本も平和になり繁栄すると考えているのか。


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