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2023/08/04

<オピニオン>曲がり角の韓国経済 第92回  尹政権が大学修能験から超難問の除外指示   ニッセイ基礎研究所 金 明中 主任研究員

  • 曲がり角の韓国経済 第92回  尹政権が大学修能験から超難問の除外指示   ニッセイ基礎研究所 金 明中 主任研究員

    キム・ミョンジュン 1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。亜細亜大学都市創造学部特任准教授等を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、韓日社会政策比較分析。

◆学力二極化の解消や公教育崩壊の食い止めへ◆

 小学生から塾に通うなど、多くの学生が私教育を重視することにより、韓国では公教育の崩壊が非常に深刻な状況である。多くの親は、私教育に投資した分だけ成績が向上し、成功する確率が高くなるという信念を持っている。低学歴により差別を経験した親は、子供を名門大学に、少なくとも4年制大学に進学させることこそが成功に繋がると信じている。一方、高学歴の価値を経験した親は子供を名門大学に進学させて、その価値を譲り渡そうとしている。

 統計庁の『2022韓国の社会指標』によると、21年の大卒者の賃金を1000%とした最終学歴別の賃金水準は、中卒以下489%、高卒644%、専門学校卒782%、大学院卒1455%水準であることが明らかになった。大卒者の賃金は高卒者の約16倍であり、大学院卒業者の賃金は高卒者の約23倍、大卒者の賃金の約15倍であった。高卒者の賃金水準は10年の635%と比べて、少し上昇しているものの、大きく改善されておらず、まだ教育レベル(最終学歴)による賃金格差は大きい状況である。


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