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2023/02/24

<オピニオン>韓国経済講座 第256回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

  • 韓国経済講座 第256回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

    かさい・のぶゆき 1948年、神奈川県横浜生まれ。国際開発センター研究員、ソウル大学経済研究所客員教授、秀明大学教授。アジア経済文化研究所筆頭理事・首席研究員、育秀国際語学院学院長

◆ホントに身に染みる◆

 韓国経済研究院はエンゲル係数の国際比較報告書を発表し、コロナ禍で韓国のエンゲル係数が主要国よりも大きく上昇したとした。2019年から21年のエンゲル係数の上昇幅において、米国、ドイツ、日本、英国、フランス(G5)の平均値が0・9㌽であったのに対して、韓国のそれは1・4㌽とG5を上回った。最も高い英国の1・2㌽も超えているという。つまり、コロナ禍の時期に韓国のエンゲル係数、総消費に対する食費の価格上昇がG5を超えて大きかった、それだけ韓国の食品物価は上がり、国民消費に大きな負担をもたらしているという事である。

 ここではエンゲル係数の上昇と国民の消費負担という事で考えてみたい。まず、改めてエンゲル係数とは、1世帯ごとの家計の消費支出に占める飲食費の割合のことである(食費÷消費支出:単位%)。その場合、食費とは食料品だけではなく、外食費も含む。消費支出とは食費のほかに住居費、教育費、水道光熱費、交通・通信費、被服費、娯楽費など(税金、保険料、貯金、ローンを除く)と規定される。上述の報告書は、ここで掲げた様々な消費支出項目を抑えてもなおかつ食費は抑えきれず、むしろ価格上昇によりエンゲル係数の上昇幅が高まったということである。


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