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2023/06/02

<オピニオン>韓国経済講座 第259回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

  • 韓国経済講座 第259回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

    かさい・のぶゆき 1948年、神奈川県横浜生まれ。国際開発センター研究員、ソウル大学経済研究所客員教授、秀明大学教授。アジア経済文化研究所筆頭理事・首席研究員、育秀国際語学院学院長

  • 韓国経済講座 第259回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

◆成長パターン、次の一手は◆

 かつて朴正熙大統領は、「外貨がないなら髪の毛でも売って外貨を稼げ」として投資資金獲得を図った。本当の話である。1962年に開始した第1次経済開発5カ年計画の翌年、早くも外貨危機に見舞われた。この時、日本の投資家を呼んで対策を聞いた折、一人の企業家が「女性が美容院で髪を切った後、切り落とした髪の毛はどうされますか」と尋ね、彼は「その髪の毛で最高のカツラができますよ」と助言した。大統領はその助言をもとにカツラ産業に力を入れ、60年代最大の輸出産業に押し上げた。その後、輸出関連部門を広げ、低賃金を活用した軽工業部門が輸出産業として、韓国の輸出志向工業化のはしりとなったのである。また、当時は韓国の輸出環境も恵まれ、欧米の産業構造が重化学工業へシフトする中、労働集約財の競争者が減少したところへ低価格でいくらでも参入する環境が広がっていたのである。以降、韓国経済は輸出構造高度化を進めることで経済成長を実現し、国民経済の豊かさを実現してきたのは記憶に新しいところである。


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