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2001/09/28

<随筆>◇韓国社会の顔のないテロリズム◇

 韓国に出張に行った折、漢江にかかる橋の建設工事をみてきた。

 もう何年にもなるが、突然崩落し死者多数を出したあの聖水大橋を全面的に復旧する工事だ。当時、とんでもない手抜き工事で大惨事を引き起こし、日本でも大きく報道され恥ずかしい思いをした。

 高度成長をばく進してきた韓国ではあるが、この橋崩落だけでなく百貨店が突如崩れ落ちるという、びっくりするような事故が起きたこともある。なぜこんな危険な手抜き工事が何度も起こるのか。

 交通事故も多い。死者は毎年1万人を超し、人口が3倍の日本よりも多い。韓国の友人からも「車がすれすれに接近してくるので、ここでの運転は難しいぞ」と聞かされたが、なぜそんなに急ぐのか。

 米テロ事件の韓国での報道ぶりを知りたくて週刊誌を何冊も買った。その一つに「韓国的危険社会をつくったテロリストたちを簡単に許し妥協したのではないか。もしかしたら、我々自身がその顔のないテロリストではないのか?」と書いていた。

 「もうケンチャナケンチャナ(よかろうよかろう)やパッリパッリ(早く早く)は止めなければならない」という人もいる。安全な社会・秩序に対してみんなが覚醒する時だと感じた。(V)